Adachi

アウトレイジ 最終章のAdachiのレビュー・感想・評価

アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)
3.5
年齢層の高い役者陣によるこのシリーズは、所謂アクションの代わりが怒号や啖呵なんだなと思いまして、アクションと違ってカット割りや吹替ができないから却って難しいよね。ついでに車が走るシーンが多いのも足で走ったり歩いたりするシーンの代わりなのかもしれないな、などとも考えた。

その中でも個人的に非常に印象的だったのが大杉漣の存在だった。日本最大組織の花菱会の会長なのですが、逝去した前会長の婿養子だという事で会長に就任しただけ故に人望が皆無なわけで、「経済」を強調するくせに西田敏行演じる幹部・西野曰く「穴を空けてばかりいる」らしい。思うように成長できない焦りから、花菱会が愚策により自滅していく流れは、世襲議員の多い国会、破綻する年金制度、腐敗した官僚構造、醜い政治的駆け引きなどを抱え込む現実社会を想像せずにはいられない。
登場人物「全員悪人」と言うものの、日本社会全体における「現実」の方がよっぽど映画という現実を凌駕するくらいに荒唐無稽化しているという事なのでしょうね。

例えば前作の椎名桔平しかり、「その場限りの男」が存在しているのがなんか甘いよね。なんて思ったりするけど、大友に対してある種の希望めいたものを見出しているのだと考えれば嫌いになれない。現代が失いかけている「真面目さ」だったり「誠実さ」を取り戻さねばという。それって全然荒唐無稽じゃなく、きわめて凡庸な結末なんだなと感じました。

僕自身最近仕事柄いろんなタイプの欲をお持ちになられる方々に会いますが、そんな中でも「真面目な人」や「誠実な人」な人って素直に素敵だなって思います。
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