垂直落下式サミング

アウトレイジ 最終章の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)
3.9
ピエール瀧が演じる本当にだらしないキャラクターが好き。人に謝罪するときに「○○さんだと言ってくれたら間違いは起きなかったのに」っていう言い訳は絶対にしちゃダメなのに、このバカは悪びれもせずに口を滑らせてしまう。本当に物事に対して無頓着な人間なんだなと渇いた溜め息が出そうになったが、でもこういう人いるよなと自分の周りにも何人か思い当たったりした。
この花田というやくざは本当にダメな人で、自分より立場が下の人間にはバックについている権威を傘に着て、偉い人に怒られるときには神妙な顔して俯いてるだけ。全部ポーズだ。善人とか悪人どうこうより薄っぺらな人間。その証拠にコイツは趣味のSMだって、かなり表層的にしかその楽しみ方を理解していない。本来ならMが自分の女王様を選ぶなんてのは畏れ多いことだ。恥を知れ。
今回で、一応はすべての「純でないもの」が削ぎ落とされ、事態がおさまるところにおさまったのかもしれない。食物連鎖を生き残るために海を捨てて陸を選んだ生き物である人間が、利己的な争いの末に再び海を前にして死んでいくというのは北野映画によくあるイメージだが、今回の海はお世辞にも綺麗とは言えない。いくら綺麗事の仁義に生きていようが大友は汚れすぎた。対照的に、ラストで大森南朋が釣りをする島の海は、まだ汚い事に染まっていない救いを残す。後腐れのない幕引きだ。
ここからは批判的な感想になるが、次々と登場人物が削ぎ落とされていった1・2に比べると、今回はあまり人が死なないので薄口な気がした。
『その男~』とか『ソナチネ』の銃撃描写は凄かったのに、このシリーズの発砲シーンは古いな。マシンガンの場面なんかは、『パブリック・エネミーズ(2009)』よりも『デリンジャー(1973)』って感じ。
あと、たけしの演技は別にいいのだけど、もうジジイ過ぎて長いセリフを一呼吸で言えなくなっているので、監督は続けてほしいけどそろそろ主演はやめた方がいい気がしてきた。