♪ 世界は窮屈だとか
そんなのどうでもいいじゃねえか
どうした おまえは勝者か
それとも敗北者か
うーん。前作で完全燃焼したのでしょうか。
本作は「再生縮小品」と揶揄したくなるほどの熱量しか感じませんでした。
特に役者さんたちの存在感が微妙なのです。
前作までは脇をギュッと締める人たちが前面に出ていたので、個人的に至福でしたが、本作は確実にパワーダウン。これは前作で暴れすぎた（殺しすぎた）反動ですね。
ただ、松重豊さんの存在感は良かったです。
前々作の椎名桔平さんや、前作の小日向文世さんよりも“いぶし銀”。最高に萌えます。あと、大森南朋さんも良かったですね。飄々とした役柄がピッタリです。
しかし、その味わいも主役級が輝いてこそ。
正直なところ、ビートたけしさんも西田敏行さんも“眼力”を感じませんでした。特に塩見三省さんは違和感満載。監督の個人的なコネで引っ張ってきたようにしか見えません。
後から知りましたが、西田敏行さんと塩見三省さんは大病を患った後のリハビリ中だったとか。そんな大変なときに出演する“役者魂”は素晴らしいとは思いますが、さすがに極道を演じるのは厳しいですよね。御身体ご自愛くださいませ。
そして、その影響は監督の筆致からも感じました。皮肉的な視点よりも乾いた筆致が前面に出ていたのです。逆に言えば、これが北野監督の“原風景”。監督が生まれ育った下町で“異端”だった理由も納得です。
まあ、そんなわけで。
完結編として捉えると物足りなく感じる物語。
あくまでも前作まで楽しめた人たちに向けた“サービス”として捉えた方が良いのかもしれません。素敵な物語は「この世界の先を見てみたい」とか思いますからね。
でも、さすがに「この世界で生きていきたい」とは思わないかな…。僕のような“小物”は5分もしないで死ぬのは確実ですからね…。
