ねぎおSTOPWAR

ナミヤ雑貨店の奇蹟のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017年製作の映画)
3.0
東野圭吾作品って大量に映画化されています。そりゃ製作者が触手を伸ばすのも納得の構成力ですから。どの作品も表面のイメージ通りには進まず、必ず二段三段の展開、オチが待っています。伏線も周到に張り巡らされています。

でも全てが成功しているわけじゃないのがまた難しいですね。キャスティング、演技、限られた時間、ロケ地・・。

さてこの作品。
【全体】
時系列を認識しながら観るのは、原作未読だとちょっとしんどいかもですね。原作はもちろん問題ありません。映像化する際、本来は<主役ではない役>を主役にしてしまったことで生じる構成バランスの変化。観る人が山田くんを軸に観ちゃいますからね、それが時系列混乱の原因のひとつですかね。

【良かった点】
何と言っても西田さん。貫禄勝ち。圧巻の存在感。
雑貨店での西田さんのシーン、ファンタジックな照明は美しく、シャッターポストに投函される手紙と共に差し込む光が良かったです。手紙の影も出さず、どうやっていたのかな?

【撮影】
西田さん出演シーン(雑貨店、病院)はとても安定。
ラスト山田涼介くんが走るシーン、背後からの追走動きがあって良かったです。
クレジットバックのモーションコントロール使った雑貨店内のパン、時間経過の表現良かったです。ドローン撮影も。

一方全体的にはメリハリ、アクセントのない絵が続いていた印象。カクカクって何ですか?
例えば最初3人が逃げ込む雑貨店は、廃屋なので当然何もないつまらない汚い空間。そこでロウソクなどを探し出すわけですが、カメラは探す手元を撮るでもなく、動く人間を追うでもなく、部屋が見渡せる位置でじーっとしています。なーんにも面白くないショット連発でした。

【演出】
聞いてみないとわからない点多数ですが、山田くんのファンを想定してか、伏線や新聞記事など、とてもわかりやすい作りにしていましたね。

【音声 音楽】
「REBORN」という楽曲は重要なファクター。映像化の際、初めて音が鳴るわけです。山下達郎さんグッジョブだと思います。
映画館では、周辺のノイズや効果音など左右のチャンネルに細かく振っていて頑張っていたと思いました。
あの火事のシーン、少女が「おにいちゃーん」と繰り返しますが、なぜ最後リミッターかかったようになってしまった?どんな狙い?
〈追記〉
アフレコ前提で撮影、収録していたんだけど、現場の音のほうがいいじゃんってなってこうしたんじゃないかという意見を聞きました。〈追記終わり〉

【キャスト】
小林薫さんと根岸季衣さんの夫婦役ってすっごい懐かしかった!
そして園長!「おっと園長もギター弾くんだ、それも左利きじゃん!」と思っていたらエンドロールで「PANTA」って「え~~~~~っ!頭脳警察!!」もっとゆっくり観たかった。

【最後に】
やっぱり映画には演技力が重要だと再認識した次第。
しっかり役作りせずに人気だけでやっているあなた、背中がすすけていますよ。