でしょうかな

私はあなたのニグロではないのでしょうかなのレビュー・感想・評価

3.7
作家のジェームズ・ボールドウィンが執筆した、1960年代アメリカにおける代表的な3人の公民権運動家とその暗殺の回想録を、サミュエル・L・ジャクソンの朗読に実際の事件の映像などを重ね合わせて映画化したもの。庶民派、過激派、非暴力主義者、みんなみんな殺されてしまった。黒人問題というのがどれだけ深刻なのかを示す一端だ。
本作では、アメリカの人種問題がなぜ深刻なのか、なぜ自由の国で差別が起きるのかを考察している。まず白人の無理解があった。無理解は黒人への恐れを生み、迫害に繋がった。迫害は黒人の怒りをもたらし、反撃させる。この応酬が積み重なり現状に繋がっている。無理解はリベラルとされる白人にも蔓延している。ロバート・ケネディですら黒人差別の深刻さを理解していなかった。
映画、あるいはそれに類似したフィクションは人々の目を現実から逸らさせる役割もあった。黒人を肯定しているという風の映画ですら、ボールドウィンからすれば白人を慰めるための都合のいい黒人でしかないキャラクターが多くいたのである。これはタイトルと直結している。
とにかく目を逸らさないこと、立ち向かうこと、ボールドウィンは人種差別撤廃に向け呼びかける。しかし、数十年経っても理想は現実のものとなっていない。
でしょうかな

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