Shirorin

私はあなたのニグロではないのShirorinのレビュー・感想・評価

4.0
公民権運動家であり作家のジェームズ・ボールドウィンの未完の原稿をベースに、友人のメドガー・エヴァーズ、マルコムX、マーティン・ルーサー・キング牧師の足跡や、絶えない人種差別と黒人への暴行事件を追い、アメリカの人種差別と暗殺の歴史に迫るドキュメンタリー。


ボールドウィンの言葉を借りたサミュエル・L・ジャクソンの淡々とした語りの中にある静な怒りが突き刺さってくる。

2018年はキング牧師没後50年。
60年代の公民権運動から現在もなお続いている黒人差別の現状にショックを受ける。。

差別する側の人間の「普通」「常識」。
それこそが実は偏見だったりする。
その「当たり前」だと思っていることを、普通に享受できていない人間がいるのだ。
それに気付けるかどうか。


また、この作品の面白い切り口は、数々のハリウッド映画の中に登場した黒人の役どころが、人種差別の根幹にある白人側の理想と虚構の表れであることを映画史とともに語っているところ。

多くの古い映画をちょっとずつ紹介されるのは、こんなテーマでなければ、映画好きとしては嬉しいところなんだけど…💧

そういえば、近いところでは『グリーンブック』でも「白人の救世主」(虐げられている有色人種を白人が助ける)「魔法の黒人」(白人により良い変化をもたらすためだけに登場する、便利な黒人キャラクター)問題で批判を浴びていたのを思い出した。

白人でも黒人でもない自分では、ぱっと見では気付けず、いろいろ考察を読んでそういう解釈があるのを知った。


この作品により、「知らない」ということの怖さ、自分の無知さに気付かされる😖
Shirorin

Shirorin