エンドロールに高らかと鳴るケンドリック・ラマーのThe Blacker The Berry
まさに彼のコンセプトヒップホップアルバムを想起させる知性と力強いメッセージに溢れたドキュメンタリームービー
過去のニュースや映画作品、カルチャーアーカイブからサンプリングされた映像とブラックミュージックがリズム良く繋ぎあわされ、いつものケレン味を抑えたインテリジェンスを感じさせる言葉を綴る「MC」サミュエルLジャクソン。
ジェームズボールドウィンが講堂でスピーチを終わらせた瞬間、モノクロームの画像がカラーに変化する演出に鳥肌がたった。
抑制の効いたクールな語り口。監督ラウルパック只者ではない。
理屈はともかく、まずはこの映画を観て体験すべき。
どういう映画かはタイトル一発だけでわかる。
しかし、ここにはアメリカの人種問題を越えた、人間の不寛容や誰もが心に潜ませる(と敢えて言いたい)差別意識の根幹に迫るステイトメントをも露わにしてみせる。
もちろん、極東の我々も無関係無関心ではいられず、昨今の日本社会の問題や停滞感の本質こそ此処にあるとさえ思う。
「向き合って必ず変わるものでもない。しかし、向き合わずして変化しないものなどない」
