このレビューはネタバレを含みます
地球侵略のために地球人の体を乗っ取り、地球人から「概念」を集める侵略者と、侵略者に体を奪われた男の妻との日常。そして、その崩壊を描く。
概念を抜かれて奇行に走る人達で溢れかえる病院のシーンが今作一番の見所。
面白人間博物館と化した病院の有り様が最高にカオス。
ストレッチャーに乗せてもすぐ自らゴロゴロ落ちてしまう奴とか、エアギターしながら病院入ってくる奴とか、症状が個性的過ぎて笑う。
エキストラめっちゃ楽しそうで混じりたい。
それにしても、あいつらは一体なんの概念を抜かれたのかな。恥とかか?
個人的な好みで言うと、
長谷川博己チームよりも、長澤・龍平コンビの物語の方が好き。
こっちをずっと観ていたかった。
結末もなるほど、って感じだったし。
長谷川チームの話は、なんか設定が良く分かんないすね。
一体、いつ長谷川博己は侵略者側に付いてしまう程彼らにほだされたのか?
なんで侵略者の高坊2人はあんなに不敵な性格なのか?(いかにも悪役みたいな)
そして、やたら女が強いのは何故なのか??
侵略者自体は思念体みたいな形の無いもので、肉体や脳ミソは本人のはずなのに。。。
エンタメ的に見せなきゃいけないから無理やりそうしたのかなと疑ってしまう。
長谷川博己がショッピングモールで聴衆に叫ぶ言葉は、若干説明臭くて好きじゃない。
なんか、テーマをそのままセリフで言われてるような気がして説教ぽくなってしまってるな、と思った。
そんな感じで、説明っぽいシーンがちょっと多いかな。
アンジャッシュの児島さん演じる刑事さんが概念を奪われるシーンでも
「他の奴らはどんどん出世していく!なのに自分は一生をヒラのまま!」
とか突然、場にそぐわない身の上話を始めたりして。
話は分かりやすいけど、なんか不自然。
「概念が抜かれましたよ」と説明するために、抜き取られる前と後で違いを出さなきゃいけないのは分かるけど、ただセリフで違いを言わせるだけじゃ、少し芸が無い。。
前田敦子が「家族」という概念を抜かれてしまい、突然まるで他人の家に居るような居心地の悪さを感じて、急いで姉の家から出ていくシーンの方が、見せ方に工夫があったと思う。
そっちは良くできてた。
個人的には、もっとシンプルで余白の多い作りにした方が良いんでは、と思った。
俺の好きな映画、多部未華子主演の「ルート225」みたいに、ゆるーい日常の描写の中で、得体の知れない物が少し混じってる…みたいな描き方でやったら良かったかも。
終わり方も、星新一のオチみたいに、
実際の侵略が起こる直前に「これから何が起こるのだろう…?」的な、想像の余地を残して終幕、、みたいな作りにした方が好みだったかも。
それにしてもすごく悲しい結末。
龍平が「愛」を理解して、妻を愛する事が出来るようになった時には、肝心の妻は「愛」が分からなくなってるんですもん。
でも妻ときたら、その事に気付いてすらいない。
龍平にとっては最悪な結末やな、これ。
長谷川博己さんだいぶディスったけど、散り際の動きは一見の価値あり!
ウイニングイレブンがバグった時、キャラがあんな動きする。