つるみん

散歩する侵略者のつるみんのレビュー・感想・評価

散歩する侵略者(2017年製作の映画)
3.6
個人的に好きな日本人監督、黒沢清の最新作。
相変わらず彼の独特な世界観に観客を連れ込ます巧さは健在で、最近だと『クリーピー』もそうだが、あり得ないのに「ちょっとありそう…。」と思わせてしまう演出はメチャクチャ好き。
『クリーピー』の時は、ある場面が映される事によって一気に現実感が無くなり冷めてしまったという結果になってしまったが、今回は初っ端から〝あり得ない話〟なので観客はある程度、準備は出来る。よくよく考えたら宇宙人侵略という日本映画が避けて来たジャンルをこうも面白おかしく真正面から勝負していった事がなにより凄い。

先に言っておくと、本作はコメディ映画。所々あるツッコミどころは置いといて中々可笑しくて笑ってしまう場面がたくさんあった。
でも何かやっぱり最近の黒沢清ってハッキリとどういう作品が作りたいのか分からない。コメディ色ではあるものの主軸となるのは結局のところ〝愛〟というドSF映画の展開で、でも俺の映画だからとホラー・サスペンス風に全体を包んでるみたいな(笑)
個人的にはやっぱり『cure』とか『回路』の頃の黒沢清が一番好き。


ただ演出面に関しては前述した通り流石で、派手な画がなくとも終末を感じさせてくれる『セブンスコード』でもお得意な、あの雰囲気は黒沢清らしいなと思った。
つるみん

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