HARUSUI

散歩する侵略者のHARUSUIのネタバレレビュー・内容・結末

散歩する侵略者(2017年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

劇団の作品が原作の映画なのですね。
宇宙人3人(映画の中で、本人達がそう名乗っている)が侵略を目的に、人間の概念を取り込んで、最後は侵略できず、愛が勝った…という流れです。
グチャグチャベチャベチャドロドロという場面は冒頭それらしき残骸がちらっと出るだけで、この映画はあくまでも、概念を相手から奪い取ることによって理解するという、おもしろい発想です。
家族、家、自由、仕事、目障りなど、ここまでは結構なかなかの単語と概念を吸収していきます。
自分もその概念の正解を知りたいぐらいです。
思考を奪われた人間は、その奪われた概念だけ欠如します。
そんな人間が、沢山病院に流れこんできますが、いつの間にそんなに吸収したのでしょうか?そもそも3人のうち誰が…?
若い人間に入った2人の宇宙人は、目的にまっしぐら。侵略、侵略と念押しのようにガイドの記者に刷り込みます。
一方、最終目的よりも、人間の生活や言葉・思考に興味を持った大人に寄生した宇宙人。離婚ぎりぎりのところだった妻と少しずつ、距離を縮めます。
この3人の違いや、侵略までの時間がゆっくり、じっくり描かれています。
難を言うのであれば、ガイド役2名の宇宙人の受け入れが何ともスムーズで、そこに時間を割く必要はないと考えてのことでしょう。
高校生に寄生した宇宙人の最期、あっけないです。あれだけ侵略にこだわって、邪魔する人間を殺害してきたのに「もういいや」って〜!
いくら、任務は果たしたからって、侵略見届けないでいいの??です。

何より一番、それはあまりにも、ありきたりではないでしょうかと思ったのは、大人に寄生した宇宙人の、最後に吸収する概念が「愛情」って…それも、妻から吸収する。その感想が「うわ、何だこれ、なんかすごい」のようなセリフ。
愛情を理解したら、そんなセリフでは済まないと思います。

最後、野戦病院のようになっている病院に入院中の妻、ボランティアで物資を運ぶ夫(宇宙人なのか、本来の夫なのか)、何故か元大物アイドルが医師役でちょい出。終了。
これって、やはり、スピンオフの映画観ないといけないパターンですか?
東出さんや小泉さんの、ちょびっと出演が気になります。
そして、厚生労働省の謎の老人と仲間達。あれは何?誰?どうしたいのでしょう?

忘れてはいけないガイド役の桜井、あれだけ色々動き回っていたけれども、何か重要な役割を果たしたのだろうか?もちろん、交信のためのスウィッチONは重要でしたが、全体的には影が薄かったです。

演者のこと。
演技、みなさん実力ありますよね。
前田さんも上手になったものだと感心です。
笹野さんの不気味な感じも、長谷川さんの振り回されっぷりも、違和感なかったです。
松田さんと長澤さんの夫婦役も、少しずつ、少しずつ歩み寄ろうとしている二人が手に取るように分かって、さすがだなと思いました。
芸人の児島さん、自分は受け入れ難いほど、ひどい演技だと感じました。
芸人さんとしては好きなので、勿体無いです。

全体的に、アイディアは面白いのですが、ペースがゆっくり過ぎて、少々退屈してしまいました。
ラスト、もう少し何とかならなかったのかな?と疑問もあるので、平均です。
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