やま

散歩する侵略者のやまのレビュー・感想・評価

散歩する侵略者(2017年製作の映画)
4.2
冒頭から不穏な空気が流れ、その空気は永遠に流れる。

人間の概念を奪っていく侵略者たち。
人間を3日間で滅ぼすことが出来るという。松田龍平演じる宇宙人が、おじゃる丸に出てくるあの宇宙人ぽい奴らを想起させる!笑 この宇宙人たちが変な奴らで面白い。

宇宙人とか侵略とかSFなんだが、結局この映画は愛とは何かであったり、戦争解決にそれが繋がったりとか、愛について考えさせられる。そして家族の物語だとも。

見終わって、ガイドとしての二人長澤まさみと長谷川博己の彼らが宇宙人だと認識してからの対応に違和感を感じていて、何故なんだ?とか考えていたが、

考えると二人とも家族をある意味無くした存在であり、結局彼ら二人にとって宇宙人は無くした愛を埋める存在になっているのが考え深い。二人とも過去の愛に気づかないうちに縋りついていたかったのかもしれない(仕事に頭は埋められていたが)。

そう考えると結局この物語は愛とか家族の大切さについて伝えてるシンプルな話であり、今作のストーリー上で宇宙人が奪った概念は人間が勘違い、或いは忘れている大切なことなんだと、宇宙人は思い知らせ、そして今一度考えさせにやってきたのでしょう。


映像表現の面においても黒沢清監督は面白い。
特に病院のシーンであったり、人の移動シーンでのカメラの使い方が大胆。長回しなのだがその構図の変わりようには目が離せない。
バカバカと爆弾が落ちてくるシーンも面白い。

やっぱり面白い映画は前後を考えさせられるモノが多い。

こんな面白い映画を劇場で見れなかった自分はバカだ!
やま

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