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ミッドナイト・エクスプレスのshishiraizouのレビュー・感想・評価

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アラン・パーカー監督第2作

ドクンドクンと主人公であるアメリカ青年の鼓動がしつこく響き、焦燥の汗が多量に流れる発端から、視点というか感情を主人公に(器具で固定されるように)固定され、異国で逮捕→悪夢のような境遇→脱出という一連の苦痛を無理矢理体感させられるアミューズメント
実話をかなり歪曲し、トルコやトルコ人を非道なものにしたてあげたこの映画、イギリス人が監督し、かつてのイギリス領であったマルタ島の英国軍兵舎を監獄に見立てて撮影された。実話に基づくと謳われていましたが、なにをもってリアルだ迫真だとするか
とにかく、ぶよぶよした、毛むくじゃらの、尻や胸を剥き出しにした、男と男と男たちが画面に密集し、湿気や汗、血しぶきや水滴や湯けむりで濡れそぼった肌と肌をぶつけあい、殴り、ひん剥き、キスをする。この男くさい無間地獄。コッテリした嫌がらせ描写にウンザリする。食べ物の味がわからない種族のつくった映画という感じがする

アラン・パーカーの前作『ダウンタウン物語』を年間ベスト2位に挙げた淀川長治さんならこのムチムチしていてオトコオトコした映画は好きなんじゃないかと思いきやそう高評価でもないらしいのは、そちらのアンテナが鈍い者には何が良くて何が悪いのか分からない。これも狂騒的でシモっぽい『ケロッグ博士』は大好きらしいのに・・
本作は双葉十三郎さんに高い評価を受けていて、「パーカーはなんでも書ける優良万年筆」という十三郎ギャグ有り
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