Solaris8

最後の家族のSolaris8のレビュー・感想・評価

最後の家族(2016年製作の映画)
4.2
12/2 ポーランド映画祭でフィクション映画「最後の家族」を観た後に、ドキュメンタリー作品「ベクシンスキー家の人々」を観てきた。

映画は画家である主人公が、ポーランド南東部の田舎町のサノクから、無機質なワルシャワの鉄筋コンクリートの集合団地に引っ越しした時期から始まる。ワルシャワはショパンが生まれた美しい街だが、雨が降る共産主義時代のような冷たい街として描かれている。

主人公はアパートで絵を描き、最愛の妻は、寝たきりの義母や母を献身的に介護する。息子は別のアパートに暮らすが、鬱病で切れやすく自殺願望を持っていて、自立出来ない。その家族の結末を淡々と描く。

ベクシンスキーは少年時代にナチスドイツのポーランド侵攻を経験したそうで、絵画作品は退廃的で「終焉の画家」と呼ばれるが、温和で家庭的な人だった。趣味はビデオカメラで撮影するのが好きな人で、家族で写した動画が多く残っている。

主人公の幼少時代は、息子と同じく鬱病だったそうで、主人公と妻は、自立出来ない息子に理解を示しながら、辛抱強く、面倒を見ようとしている。

映画の中で、息子や妻との関係を中心にコミカルに家族関係を描いているが、歳を重ねるに従って、家族の一人一人が順送りで欠けていく。

ベクシンスキーの家族の義母、母が亡くなり、最愛の妻を亡くし、1999年のクリスマスイブに鬱病の息子が自殺する。家族を一人ずつ見送る毎に鉛色のワルシャワの墓地の回想シーンが描かれるが、あるがままに見送る主人公が不憫だった。

息子が自殺しようとした頃の2000年をミレニアムと呼んだが鏡に写った物言わぬベクシンスキーが、世紀末思想を受け入れていたように思ってしまう。

最期は、映画「愚行録」の様な衝撃の滅多刺しのシーンで映画は終わってしまう。真実は小説よりも奇なりと云うが、ベクシンスキーの人生ほど映画らしい映画はないように思えた。