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8年越しの花嫁 奇跡の実話のつうのレビュー・感想・評価

8年越しの花嫁 奇跡の実話(2017年製作の映画)
4.0
『8年待ち続けた花婿』

尚志と麻衣は付き合い始めて1年。尚志は麻衣へプロポーズをして記念日に結婚式を挙げる約束をする。しかし、麻衣が突然、倒れてしまう。抗NMDA受容体脳炎だと診断される。いつ、目が覚めるか分からない。そんな麻衣を待つ尚志に麻衣の両親からは「もういいんだよ。待たなくても。」と言われてしまうのだった…

YOUTUBE発の感動実話を実写映画化。
主演は佐藤健&土屋太鳳。

監督は「64」「最低」などで知られる瀬々敬久が務めた。
そして脚本は朝ドラ「ひよっこ」を手掛けた岡田惠和。

同日公開に同じ病気を扱った洋画「彼女が目覚めるその日まで」もある。

予告を見ると所謂、邦画の感動実話ムービーのようだった。
けれど実際、見てみればそんな予想はイイ意味で裏切られた。

ココで泣くシーンですよという音楽の使い方。
感動演出するの為の説明セリフによる伏線。

そういう感動ポルノになる部分は削ぎ落した作りになってる。

感動するための演出は露骨にしない。
劇中で主題歌をかけて泣かすような演出はしない。
音楽は抑えめに大事なシーンほど役者の演技に委ねる。

「最低」に続いて瀬々監督は、こういう企画になってもイイ仕事をする。

スタッフ陣の仕上がりはバッチリ。

じゃあ、俳優陣の演技面はと言うと素晴らしかった。

土屋太鳳は今回、難病に患った役を熱演している。
初期症状は映画「エクソシスト」の悪魔憑きの少女が実はこの同じ病気だったという見解があるように普段の土屋太鳳からは見れない罵倒し暴れ回る病気に苦しむ姿は圧巻。

さらに昏睡状態になり腫れ上がった顔や目覚めてからのリハビリ姿などは
徐々に身体が治り、感情が戻っていく感じが非常に良かった。

そして佐藤健。無口で内に秘める芯の強さを持つ青年を上手く演じてる。
こういう背中で語る。演技で語るコトができるようになってる。
その渋さは内野聖陽や堤真一を彷彿させるくらい良かった。

ストーリーはやはり感動実話なのでビックリするようなモノはないのだが
こういうジャンルで台無しになってるモノが多い中、キレイに仕上がってる。

この「抗NMDA受容体脳炎」をテーマにした2作品。
同日に鑑賞した感想としては…

患った本人。そして、その病気の怖さにフォーカスしたのが「彼女が目覚めるその日まで」

患った本人。そのパートナーが病気に向き合い試練を乗り越えるラブストーリーなのが「8年越しの花嫁」

2作品の単体では深堀出来なかった部分が2つで補完できるようになってるので合わせて鑑賞すると1+1が3にも4にもなるので両方鑑賞がオススメです。

『彼女が目覚めるその日まで』で病気について知り『8年越しの花嫁』で乗り越えるカタルシスを感じる順番が個人的にはオススメ。

『彼女が目覚めるその日まで』
https://filmarks.com/movies/62509/reviews/41905994
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