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8年越しの花嫁 奇跡の実話の中庭のネタバレレビュー・内容・結末

8年越しの花嫁 奇跡の実話(2017年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

スクリーンいっぱいに俳優の手で撮影された携帯電話の画素数の低い「ホームビデオ」が登場するだけで、目頭が熱くなった。それが圧倒的な物質量を伴って未来の恋人に届けられるという仕掛けがある種のサスペンス性を伴って解錠され、失われたイメージを新しく生き直すことを決意するというメロドラマの構造も単純に素晴らしいと思った。
原将人の傑作『20世紀ノスタルジア』の他の追随を許さぬ崇高さに対し、一定の距離を保ちつつも先進的なアプローチが試みられた特異な現代映画の一つと言えるかもしれない。
二人の出会いの場面の終わり、土屋太凰と別れた後に佐藤健が乗り込んだ路線バスの車窓の風景がフィックスショットのまま移り変わっていくのも美しかったし、前半で生き生きと走り回る土屋太凰の身体性の解体の過程も見応えがあった。
クライマックスで一台だけ壊れたブランコが設置されていた小学校のロケーションも見事。

【再鑑賞】
DVDで再見。気付いたのは序盤だったが、出会いの場である飲み会に参加するまでの経緯が足されていたり、タイトルの出るタイミングが変わっていたり、上映時の形態に編集で手が加えられており、それはいずれも良い効果をもたらしているようには感じられなかった。あれを足さないと、佐藤健が「お腹が痛い」と嘘をついているように感じた観客が多かったのか?
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