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8年越しの花嫁 奇跡の実話のan0nym0usのネタバレレビュー・内容・結末

8年越しの花嫁 奇跡の実話(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

私という人間は…すぐに根腐れを起こす。
諦めやすい、見失いやすい、弱い人間。

だからネガティブな人間性を描き出した作品を観ると…恥ずかしながら、安心する。

私だけじゃない、みんな同じだ…って。

情けない話ですけどねσ(^_^;)

でも、そういう作品ばかりを観ていると…
窒息してしまいそうになる。
真っ暗な海の底に沈んでくみたいに。

今作は…ストーリーとしては大道にある。
題名からも展開は読める。

でも、これが実話に基づいて作られているって事には…ほんの少し、世界がマシに思わせてもらえる。

8年ー

何度も、何度も、病院に通って…
目覚めない人を目の当たりにして…
それが延々と続いていく。

明日こそはと願う気持ち。
何も変わらなかった今日。

落胆に埋め尽くされていく日々。

それはきっと、実の家族であっても…時の重さに心を潰されて、諦めてしまう程の苦悩だったはず。

それでも目覚めるまで待って…
想いが報われたと思えば、現実は残酷で…

守り続けた想いさえも切り落として、相手を思いやってあげられる…

人はそんな感情を持ち合わせてもいる。

その感情が『実在する』という事実。
腐りそうな気持ちが救われる。

そうやって俯瞰してる私から見えたのは…

これは再生とか奇跡ってのじゃなくて…

痛み、苦しみ…たくさんの不幸。
後悔、絶望…諦め。

全部後ろに置き去りにして…

過去に縋るじゃなく、今と向き合う姿。
未来を思い描くこと。

愚直だとしても…それしかできないから。

変われないくせに変わってく。
明日の私が、今の私じゃないみたいに。
自分でさえ刻一刻と変化していく。

それは誰かと寄り添うにしても同じ。
変わってく相手に、寄り添えるかどうか…

それが人と向き合うってことなのかもね。

土屋太鳳ちゃんを筆頭に、みなさん心の込もったいい演技をされてました。
台詞だけじゃなく、言葉にできない感情の揺らぎとか…血が通った人間を演じてた。

for better or for worse,
for richer,for poorer,
in sickness and in health,
to love and to cherish,
and I promise to be faithful
to you until death do us part.

誓いの言葉の本当の意味と、その重みを考えさせてくれる作品でした。
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