InSitu

カフェ・ノワールのInSituのレビュー・感想・評価

カフェ・ノワール(2009年製作の映画)
4.5
"これは一体何なんだろう...。"というのが第一に抱いた私の実直な感想です。ブリスフリー・ユアーズを初めて観た時に受けた衝撃に近い。
端的に言えば、この映画はゴダールからジャック・リヴェットまでの一連のヌーヴェルヴァーグ群、ブレッソン、アラン・レネ等のフランスの巨匠達&キアロスタミのクローズアップ(配達少女が乗ってるバイクがモロにラストのアレと殆ど同じ)とかその辺の映画群+ゲーテの若きウェルテルの悩みと、ドストエフスキーの白痴へのオマージュ作品な訳で、中身なんてスカスカどころか、ここまで来たら最早無いに等しいでしょう。無論、猿真似だーとか言って批判する輩がいてもおかしくはないが、こんな怪作を"猿真似"と評すなんてとんでもない。この監督のチョン・ソンイルという方は、とても漫画的な表現を好んでやる方なようで、その彼の独特な表現方法にハマった。水族館のシーン、レゲエのシーン、箱が燃えるシーン、そしてやはり、あのタイトルロールでしょう。こうして羅列してみると名シーンばかりっすね。ゴダールの映画史という映画がありますが、この映画もまた、チョン・ソンイルの映画史なのではないでしょうか。ところで一つ疑問があるんだけど、チョン・ソンイルって誰?
InSitu

InSitu