「もしも〜たら。」そんな願望を実現できる《戻り玉》を使って、夏休みに転校することになってしまった女の子を助けよう(笑)とする男の子の話。
◆シャフトの作画はすごく綺麗!
物語冒頭から《海辺の町の夏休み》そんなどこかエモい舞台と、学生の瑞々しさが綺麗に描かれる。夕暮れ時の風景、花火の描写、ファンタジーな世界、どれを取っても綺麗。
広角レンズで切り取ったかの様な、奥行きをぶっ壊したかの様な広がりを持つ空間、やたらとモダンな校舎、輪切りにした廃墟などなど、シャフト流の映像表現もやっぱり素敵。
《及川なずな》に掛けた様な《なずな畑》や、戻り玉のフィラメントがifの形をしているちょっと凝った演出も素敵。
キャラデザがシャフトの代表作、《化物語》と似通っている所も(視聴前までは)好感度が高かった。
◆残念な声優陣
「君の名は」「鬼滅の刃」などなど、昨今のアニメ作品の作画のレベルが高い事は言うまでもないことでしたが、本業の声優を差し置き、芸能人を起用することで作品をぶち壊してしまいかねない事も言うまでもないことです。
今作では主人公・島田典道役に菅田将暉。ヒロイン・及川なずな役に広瀬すずをキャスティング。これがあかんかった。
「君の名は」でキャスティングされていた神木隆之介、上白石萌音は良かった。「天気の子」でキャスティングされていた本田翼は賛否両論あったようですが、個人的には悪く無かった。だが今作はダメだ。
物語シリーズ風のキャラクターに全然合っていない。最初の違和感が徐々に不快感に変わっていく感じ。声質とか抑揚とか、何もかも受け付けませんでした。
◆全体的に「下品」な仕上がり
声優陣の残念さを助長するのがプロット。はっきり言ってこれが気持ち悪くてグロテスク。“人間の動物的な醜悪さを映す”みたいな狙いがあったのなら、まんまとしてやられましたよ。
恋愛感情と性欲を履き違えてるんじゃないのか?中学生たちの発言も、教師の発言さえも品がない。主人公の行動原理だって、恋愛感情なんて綺麗なものではないでしょう。最終的には“なずなと一緒に居られる別世界”に行ってしまったのでしょうか。欲に溺れた者の末路の様で…。
爽やかな一夏の青春モノを期待してしまっていただけに、とても残念でした。