やた

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?のやたのレビュー・感想・評価

2.5
全編通して一番盛り上がったのは、エンドロールで主題歌のサビが流れるのと曲名が表示されるタイミングがぴったり合ったところだった。
間延びがすごくて観てるのがしんどい作品。
キメのアップが多すぎてメリハリがない。盛り上がりを殺しすぎ。

思春期少年少女の初々しいやり取りが三度の飯より大好物なわたしがニヤニヤするシーンはひとつもなかった。
しょっぱなスク水から始まったのは良かったけど。

実写版と比べて、気持ち悪いアレンジが多かった。
無駄なファンタジー要素、やり過ぎな制服のデザイン、無駄に性的な服装の教師、教師への過剰なセクハラ、教師が同僚と酔った勢いでどうこうなったという不要な情報などなど。なずなのワンピースが真っ白のリボンつきになってるのも改悪。

時代設定もよくわからなかった。制服や学校が現代感どころかちょっと未来感すらあるのに、ゲームは古いし「観月ありさ」は実写版のまま。そのズレが面白いだろうと狙ってるんだとしたら確実に滑ってる。もっと振り切って欲しかった。せっかくのシャフトが台無し。

最もダメなのは、なずなの良さが全く表現されてないところ。まずキャラデザからして余裕で16歳に見えるので、「夜の商売とか」と言って口紅を引く切実さや、「16歳に見える?」の背伸び感が全く活きない。顔の年齢感がコロコロ変わるのも気になった。
やたら間延びしてる割に、実写版であったトイレに付き合ってって言ったり荷物持たせたり拾わせたり言ってることコロコロ変わったりの小悪魔エピソードが削られてて、まるで活かせてない。少し大人びてるだけの普通の女の子でしかなかった。
松田聖子歌いながらの妄想パートはCGの出来が微妙過ぎ。イヌカレーどうした。
フェチを全面に押し出した不自然なアップとかポーズも、物語シリーズ観に来たわけじゃないのにという気持ちになった。

小学生から中学生にキャラの年齢を上げた必要、2017年にこれを公開する必要、どちらも全く感じなかった。
典道や祐介が抱いた「男友達との約束を蹴って女の子と花火大会に行く恥ずかしさ」が、中学生になるとまるで活きてこない。

予告編で「君の名は。」みたいな作品だと期待させることで非ヲタの方々を誘い込み、鑑賞後「声優ってやっぱりすごいんだな」と思わせるという効能は期待できるかもしれない。
広瀬すずの声は好きだった。
やた

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