打ち上げ花火、下から見るか？横から見るか？のユンファのネタバレレビュー・内容・結末

近年稀に見るレベルの駄作。
岩井俊二のオリジナル版は、あの時だから作れたまさに奇跡の如き傑作であって、子役たちの一瞬のきらめきや躍動が記録されていた。
アニメーションは全てを作為的に生み出さなければならないため、オリジナル版のような作り方とテーマでは成立させられない。
今作では作為的なノスタルジー、作為的なエロス、作為的な逃避行が展開される。
そんな作品が、奇跡の一瞬を焼き付けたオリジナル版に及ぶ筈もない。
オタクの妄想が具現化したような二次元のエロスが、奥菜恵のスクール水着の色気に勝てるわけがないのだ。
タイムリープのツールに関する説明や言及も一切なく、主人公たちの行動理由も身勝手過ぎて誰にも共感出来ず、ギャグも全て滑っている。
それにあのラストは何なんだよ！
仮になずなと典道がifの世界へ旅立ったと解釈しよう。
別にビューティフルドリーマーでいるのは悪いことじゃない。
現実世界なんてクソだからな。
でも、なずなを好きなあの友達はどうなるんだよ！
「好きな人と一緒にいられるなら、周囲がどうなってもいい」という理屈が、なずなの複雑な家庭環境を生み出したんじゃないの？クソ親と同じじゃねえか、このクソビッチが！！
とはいえ、あの描写だけではいかようにも解釈可能なので、まあ何とも言えない。
もしも…もしも…と言い始めたらキリがないが、オチまでもしも…をやられても、それはテーマの放棄と同じだし、ならば映画を観る意味なんてない。
もしも時を戻せるならば、前売りを購入したあの日のオレを全力で阻止したい。