さうすぽー

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?のさうすぽーのレビュー・感想・評価

2.3
自己満足点 45点

パッと光ってー、咲いた~♪はーなびをー見ーてえた~♪
きっとまだ、おわらなーい夏が~♪

公開当時から酷評の嵐で荒れていた本作。
まぁ、確かに自分も好きではないです。
でも、酷評してはいません。
酷評する気持ちは解るけど。


岩井俊二監督のスペシャルドラマを原作としたひと夏の青春物語。

まず、「物語シリーズ」や「まどかマギカ」でお馴染みのシャフトが大衆向けの大作アニメ映画を作るのに公開当時驚きました。
今まではアニメファン向けの作品しか作ってこなかったですし、そういった意味では新鮮でした。
そして、君の名は。をプロデュースした川村元気と手を組み、大根仁を脚本に迎えた新房昭之監督が作り出した本作は...
奇跡のタッグでありながら、そのタッグのブレンドが合いそうで合わなかった気がします。

まず好きだったのは何と言っても映像です!
シャフトの底力がフル活用されたかのような作画で、青春のキラキラした感じが出ているし、尚且つ花火の綺麗さが本作で際立っていました。
特に、ラストの妄想のような二人の幻想的なシーンは、作品の内容問わず物凄く好きです。
また、時間が逆戻りするときの戻っていくような演出も結構好きです。

本編とは直接関係は無いけど、主題歌が凄く好きで!
DAIGOと米津玄師が歌う歌が二人の世界観を彩っている気がします。
また、劇中で広瀬すずが歌う歌や挿入歌も場面に合っていて好きでした。

個人的に、今作の大まかなストーリーは好きです。
主人公の典道がヒロインのなずなが密かに気になっていて、「もしもあの時、自分が誘われたら」という願いが実現したらというストーリーは個人的に子供の頃の青春の1ページを夢見てる感覚にさせられます。

...ただ、そんな淡いストーリーを観たいだけだったのですが、色々な要素がそれをかなり台無しにしたように思えます。


まず嫌いだったのが、なずなを演じた広瀬すずと典道を演じた菅田将暉の演技です。
まぁ...はっきり言って最悪です!
キャラクターの声に全く合ってないし、演技もアニメーションに合ってなくて本当に酷いです。
こういったアニメっぽい演出は本業の声優に任せた方が良いし、年齢に全く合ってないし、キャラクターと声が完全に分離したように聴こえて終始気色が悪かったです。

他のキャラクターは一応本業の声優を使って、有名な人気声優を使っていますが、いまいち演技が上手いとは思えないです。

また、キャラクターの年齢が今一つ設定と合ってない気がします。
なずなは中学生なのに高校生にしか見えないし、典道の友達もノリが小学生なのに外見は高校生ぽいので、それがかなりノイズでした。

あと嫌いだったのがストーリーの節々に見られる展開。
二人で駆け落ちするといった発言も、水商売をやるといった発言も結構映画から気持ちが離れました。
あと宮野真守演じる祐介の態度も世界観によってコロコロ変わるのもかなり謎だし、一貫性が全然無いです。
二人がどんどん現実から逃げるように幻想に漬かっていく展開もどうなんですかね?

花澤香菜演じる教師へのセクハラ発言はマジで要らないし結構不快でした。
「君の名は。」にあるヒロインの胸を揉む場面は笑えますが、これは笑えないしただただ不快です。
現実的に考えてセクハラされる側の気持ちを考えたら、これはいただけないですね。

そして、ラストの典道に関する考察が必要な結末も必要だとは思えないです。
「この夢が醒めるまで一緒にいたい」という内容なのに、幻想から醒めないような感じに思えて仕方ないです。

恐らくファンタジー的な展開を新房監督は描きたかったのかもしれませんが、キラキラした恋愛アニメに合ってるとは思えなくて違和感がありました。
元々新房監督は「まどかマギカ」や「物語シリーズ」等の少し奇妙でダークな世界観を主流としていたのか、そちらの世界観に寄せてしまってる感じが否めないです。
キラキラした青春アニメなのに、ダークファンタジーを見せられてるような違和感があります。


色々と不満な要素を出してしまいましたが、そんなに嫌いでは無いです。
ただ、好きになれそうな内容だっただけに結構残念に感じたのは事実です。

酷評される理由は理解できますが、絶賛してる人達もいますし、好きになれる人はいる映画だとは思います。