MoviePANDA

エイリアン4 完全版のMoviePANDAのネタバレレビュー・内容・結末

エイリアン4 完全版(1997年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

『ジュネおじさんの
   ヤりすぎ宇宙狂想曲』

この完全版なるもの。“完全”と言うからには、これが一番の完成形?と思いきや、どうやらそうではないようです。Blu-rayでこの完全版を観ようとすると、まず監督のジュネおじさんが画面に登場しました。そして「ボクは劇場公開版に満足してるんだ。」という前置きをしたうえで、「こういうのも作ってみたから観てちょ💕」ってな具合に本編が始まるのですm(_ _)m

まず、オープニング。これがオリジナルの劇場公開版と全く違います。で、どっちが好きかと聞かれたら、ボクは劇場公開版の方が好きです。そっちの方が、この続編における異様さを画で物語っているし、まさに皮肉且つせつなき復活というものをあらわしていると思うんですよね。それに対し完全版の方はというと、「SFしかも宇宙ものやるならこういう長回しやりたかったんだよねぇ」という本人の映画での夢を叶えたオープニングと言えるのかなと思います。で、それはエイリアン的にはどうでもいいかなといったオープニング。

さて、話は前作の後あまりにも長い年月が経過しているので、かの会社は消滅。しかし、人間のやる事は変わっていないようで… その人間の業の深さに、今回は何よりリプリーその人が巻き込まれる、というか無理矢理に復活させられてしまいます。もうこの設定の時点で正統な続編としては無理がある。したがってリプリーは2での母性を感じさせない、まるで冷血動物になってしまったかの様な印象。ただし単純に見た場合、この映画のリプリーはカッコいい!加工無し本番一発OKの後ろ向きシュート🏀はカッコよすぎで、撮影中にも関わらずキャストやスタッフが興奮しちゃったのは頷けるエピソード(゚∀゚ )

舞台となる宇宙船。ここもさることながら、そこに乗り込んでくる宇宙貨物船のクルー達にこそ元祖作へのオマージュ感が溢れてます。それ以外にも歩いてたら粘液踏んづけてネチャ~とかお約束の描写はしっかりある。ただ、そのクルー達との船内探索は、途中から一本調子になってしまいやや退屈な展開に… しかし、中盤にこそクライマックスがありました!本作を語る上で外せない場面と言えば、やはりそれは水中シークエンス!『ザ·グリード』にも似たシーンがありましたが、まずキャストがガチで潜水してるって事に興奮します!そして、今回は泳いじゃうエイリアン!🏊ここが良くも悪くもこの映画のピークかなと思います。やっと水面に出れると思ったら膜が張ってあって、さらにフェイスハガーが飛んでくる絶望的展開も最高でした。

クライマックスについては、賛否両論あるようです。その原因のひとつは、やはりニューボーンの容姿にあるのではないでしょうか。リプリーに同情出来なくはないけど、あのラストにするならもうそこは思いきった可愛さというか、思わず観ているこちらも胸を締め付けられる様な愛くるしさをニューボーンに与えていれば、もっと心に残るものになっていたかもしれません。その点で“振り切り”が足りなかったかもしれませんね(‘∀‘ )

この作品を通して観て、一番印象に残るのはシリーズ稀にみるグロテスクさ。頭部破壊を本人の意識があるうちに自覚させたり、最後の顔面貫通チェストバスターなんて、まるで『ブレインデッド』みたい!最早スプラッター映画さながらです。2で最高峰のアクションエンターテインメントを極めてしまったが為に、前作同様製作陣は頭を悩ませたでしょうね。ちなみに脚本は今や『アベンジャーズ』2作ですっかり大作監督となったジョス·ウェドン。練ったんだろうなとは思います。しかしこの続編は、マンネリ回避目的のカンフル剤の様なヤりすぎ描写が満載となり、興業的には満足いく結果が出せませんでした。“復活”を銘打った続編は、むしろ皮肉にもシリーズを終わらせてしまいました。

エンディング、これもボクは劇場公開版のほうが好きです。彼女には申し訳ないのですが、やはり彼女には“その地に降りたってほしくない”。まあ、これはファンのわがままですが… でも、そこの分劇場公開版よりマイナス0.1です_(._.)_
MoviePANDA

MoviePANDA