eikotomizawa

ターシャ・テューダー 静かな水の物語のeikotomizawaのレビュー・感想・評価

4.5
スローライフはそれはそれは美しいかもしれないないけど、確固たるエゴを全うしないと実現がかなわない部分もあるだろう。それを全うするだけの蓄えも。

あれだけの庭…テューダーの30万坪の敷地を健やかに輝かせるために、手入れするのにはどれだけの労力がかかるか、バルコニーガーデナーの私でもちょっと想像するだけで気が遠くなる。それだけに美しく、夢のようで、かろやかなのだが。

事実、四人の子供に恵まれたはずの晩年の彼女を映した今作に、長男家族以外が出てこなかったのは、自然と共に家族を愛していたターシャのありありとした日々の答えのまたひとつでもあったと思う。

(その後、相続訴訟もあったようだ。)

頑ななまでに自分の生き方を追求するということは、巡り合い、大切に思う人すべてを幸せにすることはできないかもしれない。美しい景色に溶け込むように寂しさも静かに映っていた。
けれどそんな自分の生き方を愛してくれる人達に最後は包まれているかもしれない、草花と共に。それはそれで素晴らしいことではないか。

いろいろ考える。
百点満点の日々って、
喜びも悲しみも等しく請け負う力を
なんとか蓄え回していくということなのだと
祈りみたいな映画だった。
だって人生は短いんだもの。
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