ひでG

熱いトタン屋根の猫のひでGのレビュー・感想・評価

熱いトタン屋根の猫(1958年製作の映画)
3.9
テネシー・ウィリアムズの同名戯曲の映画化。
僕の生まれる前の作品、相当古いが色褪せてないどころか、今に繋がるテーマも内包していて、かなり面白かった!!

舞台の為に書かれたお話なので、物語はお家の中だけで完結する。

冒頭、酔っ払ったボール・ニューマンが
陸上のハードルを飛び越えて、転倒する。

部屋以外の場面はここだけかな、
非常に端的に、この男ブリックを描いている。
過去に縛られて、今を逃げている男。

ボール・ニューマンは、晩年の名作のダンディなイメージが強いが、
映画デビュー2年目で5作目の若々しいボール・ニューマンは、尖っている。
そう、ジェースム・ディーンに近い感じ。

エリザベス・テーラの奥さんも、様々な要素が含まれていて、多色刷りのキャラクターで、さすが、名戯曲だなって思わせる。

成り上がりたいという物的な欲望や劣等感とともに、夫に愛されたい!という妻としとの心的な欲求にも満たされていない。

それに、どこか危ない雰囲気も醸し出している。

終盤、夫婦にとって諍いのもとになっているある疑惑について語る妻マギーだが、
観客に(僕は少なくともそう思っちゃったんだけど😅)
「果たして、本当にそう?」て、疑いの余地もよぎらせる、

そんな小悪魔的な雰囲気をエリザベス・テーラが見事に演じている。

お話は、典型な遺産相続や「家族を顧みず一財を築いた男」問題なんだけど、

ビックダディと次男ブリック、
ブリックとマギー
ビックダディとその妻
など、何層にも、人間関係が絡み合うあたりのドラマは、見応えがある!

そんな複層的な人間描写の中で、
直線的?ぐいぐい的な」クセが凄い!」
長男の嫁が、箸休め的な存在感を示していて、また面白い。

ラストが尺の問題か、やや解決への道を急ぎ過ぎた感もあるが、これ以上見せても、、とも思うので、いいでしょう😅
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