TAK44マグナム

ハード・ターゲット2 ファイティング・プライドのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

2.7
ガン=ガタもどきもあるでよ〜!


その昔、ヴァン・ダムが人間狩りのターゲットにされたジョン・ウー製の傑作がありましたが、今頃になってその続編・・・というかリメイクっぽく製作されたアクション映画。
主演は「エクスペンダブルズ2」でヴァン・ダムの副官を演じていたスコット・アドキンス。
ハトを飛ばしたり、意味なくスローモーションにしてみたりとジョン・ウーにオマージュを捧げるのも良いですが、どうせならヴァン・ダムをちょっとだけでも出してあげてほしかったなあ。
監督は「デスレース3インフェルノ」とかのロエル・レイネですけれど、腰砕けなフィルモグラフィーばかりで観る前から不安(汗)。


格闘家のウェス(スコット・アドキンス)は親友と王座を賭けてタイトルマッチを戦うが事故で親友の命を奪ってしまう。
逃げるように、場末の賭けファイトで日銭を稼ぐだけの体たらくに堕ちたウェスに、100万ドルのファイトを持ちかける男がいた。
格闘プロモーターを称するオルドリッチ(ロバート・ネッパー)の話にのったウェスはミャンマーのジャングルへ飛ぶが、そこでは大金を払ったセレブたちによる人間狩りゲームが行われていた!
新たなターゲットにされたウェスは、タイとの国境を目指して逃げる。それを確実に追い詰めるオルドリッチたち。
はたして、ウェスは生き延びることが出来るのであろうか・・・!


新味のないストーリー、穴だらけの展開が哀しい。
ヴァン・ダム版の方が全てにおいて勝っております。
唯一、ジャングルのロケーションだけはスケール感があって勝っているかもしれませんが、別にそれを活かしているとも思えないし。

爆発や銃撃もありますが、どれも迫力不足。
せっかく「ランボー/最後の戦場」のスタローンさながらスコット・アドキンスが頑張って崖を転げていっても、しれっと無傷だったり、魅せ方に工夫がないので次の瞬間には忘れちゃいます。
格闘家なのに、いきなり「コマンドー」のシュワちゃん並みに無敵無双にライフルで兵隊を倒していくのも違和感がありましたね。
そんなんだったら、最初のうちに銃うばって反撃しちゃえば良かったじゃん!

スコット・アドキンスだけだと間が持たないのか、途中からドラマに幅をもたせようと、オッパイもたわわなジモティー女子が助けてくれたりしますが、それが功を奏しているかというと何となく逆効果。この女子やその弟が敵を倒したりしちゃうので、結果的にスコット・アドキンスが倒した敵が極端に少なく消化不良をおこしてしまいます。
サバイバル感もあまり感じられないし、どうにもご都合主義が垣間見えるのも良くないと思いました。
スコット・アドキンスを相手にするには敵が弱すぎるし。
なにしろ接近戦になったら、まずスコット・アドキンスに勝てないのが分かってますから。
一人ぐらい格闘戦のプロっぽいのをメンバーに入れておくべきだったと思うし、せっかくキャラだちしそうな闘牛士やシューティングゲーム(たぶんFPSゲーム)のスペシャリストを揃えたのに全く存在感がなく意味をなしてません。

特に、ローナ・ミトラはピタッとした革スーツの女戦士という役柄で、登場からして期待がもてたのに残念な扱われ方。
一応、スコット・アドキンスと肉弾戦も演じますけれど特別強いわけじゃないし、出自にドラマを持たせてもそれを膨らませる描写がないままだったので必要なキャラクターとは思えませんでしたね。
たんなるアマゾネス担当でした。
これなら、例えば親友の奥さん役をローナ・ミトラにして、逆恨みからスコット・アドキンスを罠にかけて人間狩りに参加させるんだけれども、自分もハンターとして追ううちに間違った復讐に気づいてスコット・アドキンスを助ける側にまわる・・・といった風な方が面白いと思うのですがね〜。
というか、てっきりそういうストーリーなのかと、観る前は勘違いしていましたよ・・・。

そんな感じでストーリーに捻りがないのが痛いところ。
ウェスというキャラにも深みが感じられないし、もっと血の通った物語を描いて欲しかったというか、ただアクションをみせるだけならヴァン・ダム版をそのままリメイクした方がよっぽど賢明だったんじゃないですかね。
スコット・アドキンスの股割りキックや重力から解放されたような蹴りは相変わらず素晴らしいですが、まだまだ全盛期のヴァン・ダムの(華のある主演俳優としての)域には達していないし、オリジナル版と対比して、ジョン・ウーがいかに面白いアクション映画が撮れる監督なのかが良〜くわかる結果に。
やはりロエル・レイネとジョン・ウーでは、こういうB級映画でも天と地の差があるんですな。

クライマックスも盛り上がらずに「なんだかな〜」と悶々としていたら、最後の最後にキックが入り乱れる格闘戦があって、これは嬉しいサービスでした。
ちょっとバトルが短すぎますが、なんとあの世界有数のアクション女優であるジー・ジャーが敵として立ち塞がるのは予想外のサプライズ!
相手が女子だろうが容赦なくぶん殴るスコット・アドキンスも、このシーンでは輝いておりました!

そうそう、エンドロールでは、しかめ面で麺を喰ったりしてバンコクを観光するスコット・アドキンスの姿が特に意味もなく延々と垂れ流されます。
なにかあるのかと最後までちゃんと観たのに、本当に何も起こらなくて逆に驚き(汗)。
よくわからないエンドロール賞を授与したいと思います!

スコット・アドキンスの蹴り技だけは見る価値あるので、そこだけオンリーで必見。あとはハトみたいに飛ばしちゃっても平気でしょう〜。


セル・ブルーレイにて