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ぼくの名前はズッキーニのharu3uのレビュー・感想・評価

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)
3.0
母親を亡くし孤児院で暮らすこととなった少年ズッキーニが、新たな環境で愛と居場所を探す物語。

冒頭から、ストップモーションアニメの温もりある味わいとは真逆の、過酷なストーリーが展開されて驚きました。
Tバートンのキャラクターのような、不気味と可愛さの間の危ういバランス。ギョロ目で青白い人形の造形が、孤児院で暮らす子供たちの辛酸を想像させます。人形の抑制された動きもまた、悲しみや空虚さを強く訴えかけるよう。
人形たちが演じることによって、幼い子供たちが背負うには重過ぎる現実の緩衝材になっていたと思います。楽しい雪山合宿で、外から見た子供たちの異質さを突き付けられるシーンは、実写だったら目を背けていたかも。。

育児放棄や虐待、親の懲役、不法移民の強制送還等々。どうすることもできない大人たちの事情が残酷だからこそ、不器用に自分の居場所を見出そうとする子供たちを応援せずにはいられません。
救いは、子供目線から見た世界が意外と愛に溢れていると感じられたこと。ハートフルなラストには心が温かくなりました。
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