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ぼくの名前はズッキーニのmoimoiのレビュー・感想・評価

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)
5.0
ズッキーニたちは生々しい傷を抱えながら、友愛で連帯する。

親の不法滞在・強制送還、ドラッグ中毒、虐待、子どもたちがそれぞれ抱えるものは重い。
それでも誰かの手を取りたい、ひとりではなく誰かと生きていたいと願う。
理想を描いたメルヘンではあるが、「子どもが願う幸せ」のかたちに触れられる普遍的な物語だ。

ストップモーションアニメの極限まで単純化された表現、その余白にうまれるのは紛れもなく命だ。
余白は観る者の心が入り込む隙間で、表情のあわいのようなものに人は自分だけの命を見出す。
見出した時点で作品は完成する。
それがストップモーションアニメの魅力なのだと思う。
ズッキーニたちの目には悲しみ、淋しさ、嫉妬、ときめき、喜びなどさまざまな感情が宿る。
否定するつもりはないが、3DCGアニメが生み出せないなにかがストップモーションアニメの中にはある。
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