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ぼくの名前はズッキーニのsobayuのレビュー・感想・評価

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)
4.0
いい映画だった。こうであって欲しいという祈りを込めた映画というか。それぞれ酷い経験を経て養護施設で暮らす子供たち。韓国映画の冬の小鳥を思い出す。あれもフランスが出資に入ってたので、よい意味で人との距離をきちんととっている感じはフランスの空気感なのかもしれない。

皆よりちょっと先にオトナびてしまったシモンの心情を思うと切ない。静かなトーンで感情表現も控えめ、大人はそこから色々読み取ってじんわり涙を流すような作品。でも実際の問題を柔らかく描きすぎというか、観てる側がいい気分で涙できる塩梅にしてあるとまで言ったら意地悪すぎるか。

子供が泣き喚いたり癇癪起こしたりするシーンはないんですよ、みんな低体温モード。だから子供がそんな好きでもない私でも見やすい。それって漂白と紙一重かもしれない。いろんなトーンがあっていいのでこの映画はこのままで勿論素晴らしいんだけど、現実はちっとも寄り添ってないくせに、映画だけ見て涙を流す自分はずるいんじゃないかって自戒もしたりして。

ここに出てくる先生やレイモンのような、いい大人になりたい。
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