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ぼくの名前はズッキーニのmaverickのレビュー・感想・評価

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)
4.1
これはすごいアニメ。
フランス語のストップモーション・アニメーションで、第89回アカデミー賞の長編アニメ映画賞にノミネート。惜しくも受賞は逃したが、セザール賞など数多くの賞を受賞した話題作。子供向けな作品かと思いきや、結構ヘビーなテーマに驚く。

9歳の少年ズッキーニは母親と2人暮らし。母はアルコール依存症で、気にくわないことがあると息子に当たり散らすような人だった。その母親が急死し、一人ぼっちになったズッキーニは施設に預けられることに。その施設では同じように、親から正常な愛情を受けずに育った子供たちが暮らしていた。このだいぶ重たい話を子供たちの世界観で描く。悲しい体験をし、トラウマを抱えている少年少女。それでも子供たちは無邪気であったりする。無邪気で微笑ましい一方で、心に傷を負っているのを節々で感じる。さらりと描かれているように見えて、しっかりと心に響く作品だ。子供たちはみんな無垢でかわいい存在なのだ。その子供たちにこんな辛い思いをさせちゃ駄目だ。大人のせいで不幸になる子供を生み出してはいけないなと本作を観て痛感する。
まだ子供だから知らないように見えて、実は結構子供も分かっている。ドキッとするような発言が多く、純粋に子供に見せるアニメかというと難しいところ。海外らしい作品性ではある。別に子供に害になる作品だとは思わない。本作を観て、子供なりに本作の趣旨は理解出来るはず。子供に見せようが見せまいが、それは自由なんじゃないかな。

ストップモーションの技術も素晴らしい。今でこそCGが主流だが、昔はこういうストップモーションアニメもよくあった。柔らかみを感じる映像のおかげで、重たくなりすぎずに絶妙なバランスが取れている点も上手い。ロッテン・トマトで支持率が98パーセントも納得。ほんとすごいアニメだ。心がほっこり温かくなる。そんな素敵な感動作でした。
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