きぬきぬ

草原に黄色い花を見つけるのきぬきぬのレビュー・感想・評価

草原に黄色い花を見つける(2015年製作の映画)
3.5
1980年代、ベトナム中部の豊かな美しい自然の中の村、裕福でない村人たち、その中の、ある家族の少年の物語。生活を気遣いつつも穏やかな生活の中にいる子どもたちには現実と伝承的ファンタジー世界がまだ混在している。その伝承が、子どもに良くないことを隠す為大人たちが創ったものだと知り、それを理解し始めるのは学校に通う思春期に入る兄で、まだ幼い無邪気な弟ではない。お伽話を信じたくとも現実と直面して行く兄には、成長過程での嫉妬や恋や狡猾さや恐怖や不安も芽生えて行く。それでもそんな兄もまだ子どもで混乱して行ってしまった行為が何度も彼自身を罪悪感と後悔で苦しめる。そんな主人公となる兄が痛々しく、彼の眼差しや行動から実は繊細な少年であることも丹念に描かれている。
ファンタジーを信じる純粋な弟が兄の救いにもなっていて、兄もその世界を壊そうとはしない。
子どもの頃のそんな過ちを、些細なことでも起こるトラウマ的な後悔を思い起こさせるような、それでも救われる道のあることを知るような、そんなさりげない優しさがあった。

繊細な年頃の兄ティン・ビンくんも、優しく思いやり溢れ強く素敵な弟チョン・カンくんも、兄が恋する可愛いムーンちゃんタイン・ミーも、お父さんもお母さんも皆自然に良いー!
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