「お前ら皆グイグイ行くな」
「死霊館」のスピンオフである「アナベル」のビギニング的なお話と言う、
もはや何が先で何が後なのかよくわからなくなってきた新作。
行くあてのない孤児院のシスターと子供(女子限定)を受け入れた、
謎のおっさんとおばさん夫婦。
女子限定と言う時点で怪しいが、
問題はおっさんの性癖ではなかった・・・。
この家には、異常な性癖を持つおっさん以上にやばいやつが潜んでいたのであった・・・。
あ、おっさんの性癖に触れる描写は一度もない。
■「お前ら全員祟られても致し方ないくらいグイグイ行くな」
「死霊館」に「アナベル」に「インディシアス」に、
その他インスパイア系ホラーと言う、お前らラーメン次郎かよとツッコミたくなるくらい量産されるジェームズ・ワン系列心霊ホラーシリーズ。
出演陣も被ったり、
もはや何を見て何を見てないのかこっちが分からなくなってきた。
本作は、そうだな、「X-MEN」シリーズでいう「ローガン」みたいなもんやな。
ちなみに、「アナベル」で調べると、「アナベル情事」という謎の映画が引っ掛かってくるが、
おそらく関係ないと思われる。多分。いや、もしかして・・・チャッキーと?
まぁ、1931年作である「アナベル情事」は置いておいて、
本作は監督がデヴィッド・F・サンドバーグ、映画でいえば「ライト/オフ」の監督で、
なかなかホラーセンスが個人的には嫌いじゃないタイプ。
ジェームズ・ワン系列心霊ホラーシリーズは、
心霊系と言っても、正確には悪魔憑き系なわけだけれど、本作もそれは同じ。
勿論、アナベルのビギニングなわけやから。
出足から、ちょっとまったりと言うか、スローテンポと言うか、
あまりギアが上がってこない流れ。
ただ、ホラーの演出が流石に悪く無い。
見えそうで見えない感じ。見せない感じ。
それは、終始一貫していて、ワビサビがあってよろしい。
デヴィッド・F・サンドバーグはその辺り流石かな。
ただ、正直前半は流れが緩くて、子供も多いし、
まぁ温い系で終わるかなと思ってた。
それが終盤はアップテンポで色々起きるんだけれど、
そのトリガーとなるのは、少女たちがグイグイ行くアグレッシブ感。
どんだけハート強いんだよっていうくらい、
グイグイ手出して前進んでくと言うかさ。
まぁ、そんだけ前出たら祟られても致し方ない。
ま、ここは人によるかもしれんが、そんなにイライラはしなかった。
個人的には。
イライラさせる暇ないくらいグイグイ行くからね。
そういう意味では、この夫婦もグイグイ行ってた結果、かもしれん。
■「アナベルも行っちゃうよ?グイグイ。」
当のアナベルも、今作ではグイグイ行く。
心霊系で子供が出てくるホラーは、
大抵なぁなぁの温い結末を迎えてハッピーエンドからの、思わせぶりで終わる。
ただ本作は、若干、スプラッタ的なやり方が入ってきてる気がする。
激烈な描写こそないにしろ、微グロもあるしね。
ホラー演出もなかなか不気味で、
個人的には終盤の怒涛の展開は楽しんで見てた。
KO勝利とまでは行かないけれど、なかなかの判定勝ちじゃなかろうか。
個人的には好みな感じだった。
しかし、ここで言うアナベルを人形と捉えるか、だけど、
人形って意味だと、あんまり人形自体は主役じゃない。
あくまで道具的な?
まぁ、ゴリゴリに動いたら、それこそチャッキーになってしまうし、
待ち受ける未来はチャッキーVSアナベルしか無いのだが。
そこは人形系ホラーとして一線を引いたかな。
トータル、もうちょっと刺激が欲しい感はあるけれど、
悪く無いホラー映画だった。
アグレッシブさもあったしね。
良かったと思います。