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夜は短し歩けよ乙女のまぐのレビュー・感想・評価

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)
4.5
縁を偽造しようとする先輩と、本当に出会うべき縁に気づけない乙女。かなり回りくどいけれどその回りくどさこそ真骨頂であるピュアなラブストーリーでした。

何と言っても湯浅作品は攻めた演出!リアリティを排除した脚本にリミッターを外され、上限なく暴走した演出が今回も映画のテンションを頭から尻まで保ち続けます。やっぱり天才だこの監督は…と何度思わされたことか。何気ないシーンが1つもなく、全てが魅力的に誇張された世界観はアニメ映画にしては多少密度に欠ける画面を補って余りある、もしくは逆にオシャレに見せるほど完成されています。

また、今回の縁というテーマは、湯浅作品と非常に相性が良く感じられました。今までの湯浅作品でも使われていた、前半意味もわからず登場する要素を後半で一気に一本に収束するという手法は、このテーマに於いて特に意味を成しているように感じます。
いちいちメタファーに洒落が効きすぎてるんですよね…詳しくは言えませんが、恋の始まりを空から降るこ○で喩えたり、縁をか○に喩えたり…しかも登場する全ての小道具に重複する意味を持たせているというコンパクトさが、湯浅作品の好きなところの1つでもあります。

ただ1つだけ、シリーズ物でないならば他の湯浅作品を見ていなくても全て理解できるように作って欲しかったというのはあります。自分は幸運にも見たことがあったのですが、特に四畳半を見ていない人にはわかるのかこれ?みたいなシーンもあったので。

四畳半を見ている自分にとっては、もしかしたら今まで見た湯浅作品の中で一番かもです。マインドゲーム的なドラッギーさも残しつつ、こちらは間口がかなり広がっていました。俄然夜明け告げる〜、も楽しみになりました。そう言えば夜明け告げる〜のキャラ達が友情出演していたり、そのほかにも見覚えあるキャラクターが登場していたりと、ファンサービスにおいても抜かりない映画でした。
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