YukiSano

夜は短し歩けよ乙女のYukiSanoのレビュー・感想・評価

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)
3.7
四畳半神話体系の湯浅監督の作品なので何の前情報も入れずに観たら同じ世界だったので嬉しくなった。

話の切り口も原作者が同じだからか、そっくりのために、これも四畳半の別次元のどれかなのだろうと思ってしまう。

一年間の話を一晩という設定にしているという原作からの改変部分が物語の狂騒感を加速し、酔いどれの見た夢のような青春、風邪に浮かされた一晩のようで、何処までが現実だったのか分からなくなっている。

これは過ぎ去った青春という時間を象徴的に現しているように感じる。孤独な老人の時計が速く回るが、この作品の時間は極端に圧縮されていて、乙女の生きている時間感覚を観る者に体感させてくる。

四畳半神話と同じように、かけがえのない時間を訴えかけてくる湯浅節に当てられて、自分の儚い大学生活に想いを馳せてしまった。

先輩の脳内裁判は青春を過ごしたものなら誰でも経験があるだろう。時間を大切にしようと思える摩訶不思議な青春映画だった。
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