ジブリから独立したスタッフが製作した作品ということで、どうしても本家と比べてしまう作品。でもねえ、こういうこと書くと嫌われますが、自分はジブリの作品ってあまり好きじゃないんです。
ジブリの作品というより、ジブリの作品をみて語ってる大人達が苦手。登場人物や、ちょっとしたセリフを切り取ってみては
「あれは●●のメタファーだ!アイロニーだ!この台詞は現代社会の象徴だー!」
と、オレ頭イイ!的解釈論をいってる人にウンザリなんです。
いや、まあ自分もそっち側の人間なんで自己嫌悪なんですけども。
もちろん映画の中に自分だけに伝わってきたメッセージを探すのは映画の楽しみで、そこは否定しません。でもそれにしたって、なぜにあんなに映画の中に必要以上に意味を探そうとするのか不思議。社会的に大ヒットしたから、そこに意味があるべき、と考えすぎなのでは?もっと素直に「楽しかった」でいい、と自分は考えてるんです。
そういった「解釈したがる大人たち」にとってみると、本作「メアリと魔女の花」は、ジブリ作品のような小賢しさを感じないので、物足りない作品であることでしょう。
それは作品が「テーマが浅い、子供だまし」ということではなく、「テーマがストレートで、子供向け」だということです。
この作品はまさしく正しく作られた正当派「子供向け作品」です。元ジブリのスタッフである大人たちが、子供たちを楽しませてあげることに徹した秀作。評価的には厳しい声もあるようですが、その姿勢と気持ちは応援したいと自分は思っています。
こんなのがあったらいいな、という魔法の力を手に入れてしまうこと。魔法世界への冒険、自分を助けてくれた人への恩返し。
子供が夢見ること、大事にしたいことがギュッと詰まった作品。
さっきから「子供向け」という言葉を繰り返してますが、大人がみて楽しめない作品ではないですよ。
むしろ大人のほうが、エンディング曲の
「魔法はいつか解けると僕らは知ってる」
という一節に、グッとくるのではないでしょうか。大人は子供時代がいつか終わること、知ってるもんね・・・