てぃだ

メアリと魔女の花のてぃだのネタバレレビュー・内容・結末

メアリと魔女の花(2017年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

 「魔法は、いつか解けると僕らは知ってる」。で始まるエンディングテーマに思わず涙腺を刺激された。映画が終わってエンドロールに入るその瞬間というのは個人的に正にそういう気分で、嫌でも現実の世界にあと数分で戻らないといけないことを思い知らされる悲しさに包まれるものなので(勿論中には早く解放されたくて仕方がない映画もあるけど)、それを真っ向から指摘されたような歌詞とメロディに大いにやられた。いやー、SEKAI NO OWARI、すごくいい歌うたうなぁ。もう何か先ほどまで映画を見て抱いていた不満とか感想がこの歌ひとつで吹っ飛んでしまった。エンドロールで全てが帳消しになった映画は久しぶりかもしれない。そういや映画館が明るくなるまで残ったのも随分と久しぶりだ。





 で。とりあえず『メアリと魔女の花』。「アニメ映画の声優にもちゃんと本業の声優を使え」というガチアニメファンの方々が激怒しそうなぐらい、主要キャスト陣に本業=声優がいない(といっても今に始まったことではない・・か?神木隆之介に関してはもう声優と呼んでもいいと思うけれど)。というか、僕はアニメ映画を見る時はいつも、前もってボイスキャストは極力確認せず、「この声はどの役者さんだろう・・?」と思いながら見て、エンドロールの名前で答え合わせをして楽しんでいるのだけど、今回、主要キャラに関しては分からない人が一人もいなかったwビックリするぐらい分かりやすい特徴的な「お声」の持ち主ばかりがキャスティングされている(それが楽しくもあり不満でもある。大竹しのぶのお付きの人が渡辺えりに大笑い。満島ひかりが年を取ったら大竹しのぶになるのには更に大笑い。)でも一番気になったのはヒロイン=杉咲花。この娘、この年齢にしてかなりヘビーな役柄を多く見てきたせいか(彼氏が強盗に手を染めたのに責任を感じ、さりげなくその家の老夫婦と友達になるもその家の奥さんが病気で死ぬ/妊娠して学校を辞めざるを得なくなる/学校でいじめられる/母親が難病で死ぬ/心通わせるフリーター男が病気で死ぬ/祖父が殺された上に母親が容疑者/両親が殺され、両親が経営してた剣道道場もつぶされキムタクを用心棒に復讐の旅へetc)、やっぱり「影」の空気が濃くて、どうもこの失敗してばかりのドジで無邪気で一生懸命な女の子・・という少女漫画の鏡のような主役の娘の陽気さとなかなか馴染まなくて苦しい(吹き替えがヘタとは思わない)。それから遠藤憲一は画面に出るたびに苦笑い。あのコワイ顔にこの声あってこその遠藤さんなのだと改めて思った(正直、アニメ画像の口からあの遠藤さんの声が漏れ出てくると感情が全く感じられなくてとても怖い。殺人鬼みたいな危ない人にしか思えないので何故主人公がこの人を全く怖がらないのか不思議。あんな声で淡々と「子供と犬に庭仕事は無理だ」とか言われたらわしは号泣する)





 「赤毛」であることに主人公が猛烈なコンプレックスを抱えていて、「赤毛の猿」と男の子に言われてほっぺを膨らませていた部分を中盤と終盤でちゃんとネタとして使ってたのも割と好感(何であそこまで赤毛にコンプレックス抱えていたのだろう。「胸がデカい女」と「ブロンド髪女」はバカで頭カラッポだと思われがち・・とかいうあのよく分からない西洋のジンクスみたなもん?)で、ものすごく子供向けかなぁ・・という気はするけど悲観するほどでもないかと。どうしてもあと数年はジブリとの比較は避けられないだろうけど、むしろ最近の説教臭いジブリ作品よりはこっちの方が、かつてジブリのファンだった親たちが小さいお子さんを映画館に連れていきやすい作風じゃなかろうかスタジオポノック。
てぃだ

てぃだ