ニャーニャット

メアリと魔女の花のニャーニャットのレビュー・感想・評価

メアリと魔女の花(2017年製作の映画)
2.2

ジブリで築き上げてきた技術を継承していかないといけないとプロデューサーの西村さんは言ってたし、たしかに使われるCGとかキャラクターデザインにその志は見えたんだけど、どうしてもジブリにあって、ポノックにないものが2つあってそれがそのままこの作品の大きな欠点になってしまってる。それが世界観の「広がり」と「説得力」。

まず、世界観に「広がり」を持たない大きな原因が、昔話とかイソップ童話みたいに登場人物が必要最低限しかおらず、解釈の発展性を許さない作りであること。
それが教訓譚っぽいというか監督のメッセージがむき出しになってて、悪くいうとすごく説教がましく感じちゃうんだよね。

もう一つの「説得力」に関しては、モデルとなる世界観が感じられないことに原因がある。
今までのジブリは独創的な世界を描いてるようで、必ずモデルとなる世界がどこかしらに実在してて、ロケハンするなり写真集を集めるなりして、実在の世界観を再構築していた。その再構築により、独自の世界観であるようで、その街並みに人々の生活や文化、歴史を感じさせ、その自然に土地の季節や気候を与えてきた。
しかし、この『メアリ…』にはそれがまったく感じられず、今回描かれていた魔法学校も独創性には溢れていたが、実際に学生がそこで学び、生活が営まれているような説得力が感じられず、その画面に描かれる情報量に反してなんだか薄っぺらいものに思えて仕方なかった。

ちなみに、良かったなぁと思えた点が1つ。動物がよく動いててそこのアニメーションに関しては迫力があって凄かった。特に予告編にも使われてた動物たちが一気にドアから溢れ出て来るシーンは見応えがあった。