ユースケ

メアリと魔女の花のユースケのネタバレレビュー・内容・結末

メアリと魔女の花(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「魔女、ふたたび。」というあからさまに【魔女の宅急便】を意識したキャッチコピーからやる気まんまん。空から降ってきた少女で始まり、滅びの呪文で終わる【天空の城ラピュタ】を思い出さずにはいられない物語、【ハウルの動く城】っぽい光の表現や【崖の上のポニョ】っぽい水の表現など、スタジオジブリ作品(宮崎駿監督作品)への露骨なオマージュが連続する展開によって終始デジャヴに苛まれる微妙な一本。

確かに、ジブリファンであればあるほど露骨なオマージュに拒絶反応を起こしてボロクソな評価を下すのだと思いますが、【借りぐらしのアリエッティ】と【思い出のマーニー】を通してスタジオジブリに対する愛憎をこっそりぶち込む米林宏昌の作風を知った私にとっては、ラストで流れるあざといSEKAI NO OWARIの【RAIN】の歌詞すらも意味深に感じて感動してしまいました。世間の評判に流されず、劇場で鑑賞すればよかったと後悔しています。

メアリ=米林宏昌監督、マダム・マンブルチューク=鈴木敏夫、ドクター・デイ=宮崎駿&高畑勲、エンドア大学=スタジオジブリ、魔法=高度なアニメーション技術、魔女の花・夜間飛行=スタジオジブリの持つ高度なアニメーション技術の真髄、として鑑賞すれば、メアリのセリフに隠されていた米林宏昌監督のスタジオジブリへの愛憎を感じ取る事ができると思います。
特に、ラストの「私にはもう(夜間飛行は)必要ないの!」から「魔法が使えるの これが最後だから!」の流れからは、本作でスタジオジブリというブランドを使い切り、スタジオポノックのクリエーターとしてやっていく米林宏昌監督の覚悟を感じられて泣きそうになりました。

変身魔法の実験台にされて暴走した生徒が示すものは宮崎駿の後継者から離脱した近藤喜文なのか?細田守なのか?宮崎吾朗なのか?メアリの赤毛コンプレックスが示すものは米林宏昌監督の禿げコンプレックスなのか?私はどこまでも深く潜り続けます。

エンドクレジットの高畑勲、宮崎駿、鈴木敏夫の感謝という括りが一番意味深だったな。