MasaichiYaguchi

いぬやしきのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

いぬやしき(2018年製作の映画)
3.4
奥浩哉さんの人気コミックを佐藤信介監督が木梨憲武さんと佐藤健さんのW主演で実写映画化した本作では、夫々家庭に問題を抱えた主人公達が不幸な遭遇によって人ならざるものになったことによる明暗や善悪を、最新VFXを駆使したスケール大きいアクションと怒涛の展開で浮き彫りにしていく。
16年振りに映画主演した木梨憲武さん演じるサラリーマンの犬屋敷は見た目はジジイだが、恐らく私と同年代だと思う。
だから同じ穴の狢として、映画の始めで描かれる彼の情け無い数々のエピソードが心にグサッグサッと刺さってくる。
勿論、家族に大黒柱として頼られ、慕われているお父さん達もいると思うが、私を含めて半数以上は程度の差はあれ、冒頭の描写に身につまされるのではないかと思う。
そして犬屋敷同様に不条理に巻き込まれてしまった佐藤健さん演じる高校生・獅子神皓は、何も悪い事をしてこなかったのに、世間の片隅で母と二人で倹しい日々を送っているのに遣る瀬無い思いを抱いている。
そんな年齢も境遇も違う彼らが、予想だにしなかった遭遇で人ならぬものになったことで、その運命が大きく変わっていく。
一人は善に目覚め、もう一人はダークサイドに落ちていく。
性善説と性悪説で分かるように人にはコインのように裏表があり、何かの切っ掛けでどちらにもなる。
この作品では、この善悪のせめぎ合いが新宿上空でパワフルにアトラクション感覚で繰り広げられる。
善と悪に棲み分けられているが、どちらも掛け替えのない存在に突き動かされている戦いは、どのような結末を迎えるのか?
続編が作られそうな、何処か希望を感じさせるラストが余韻を残します。