スタンダード

いぬやしきのスタンダードのレビュー・感想・評価

いぬやしき(2018年製作の映画)
5.0
【初老】


家庭での居場所がなく、
職場ではうだつも上がらず、
ただひたすら臆病な日々。


【若者】


端整なルックスを持ちながら、
青春に溶け込むことはせずに、
愛する人だけに尽くす日々。


【初老vs若者】


絶望は、
『救済(初老)』『破壊(若者)』
に分離する。


【結合】


『若者の青春』と
『初老の哀愁』を
『分離して表現』
している作品は少ないと思います。


『若者の青春』と
『老人の哀愁』は
別々に描こうとしても、
必ず混ざり合うからです。


セント・オブ・ウーマン
からも分かるように、
『若者と老人の交流』
は相性が良いのです。


【分離】


そんな相性抜群の組合を
あえて分離させることで、
若者と老人が各々抱えている
悩みや孤独を本作は鮮明
に描き出しています。


『老人には親切にしましょう』
『若者の未来を尊重しましょう』


でも実際には、
『年下の上司からダメ出し』
『若者の未来は大人が搾取』
それが世の中の現実です。


社会は世知辛いからこそ、
己の尊厳は己で守らねば
ならないのだと感じます。


思いやりの時代は過去の話。
現代は尊厳のぶつかり合い
へと突入したのでしょう。