木梨憲武と佐藤健の好演が光る映画でした。
アドリブ芸やおふざけを封印して、しっかりとした芝居をする木梨さん、とても新鮮だったし上手いと思いました！
ちゃんとダメ親父に見えるのが素晴らしく、不良にビビって見ないフリでやりすごそうとする(しかもそれを長女に見られていた)シーンで見せた表情は最高。この痛々しさは原作の同じシーンを超えていて、本作の白眉と思いました。
一方の佐藤健は、まさに、この映画で新境地を見せました。
彼が演じた獅子神くんはカイロ・レンを彷彿とさせるエモ&狂気な現代的悪役で、そのエモーショナルな部分をとても繊細に演じきったと思います。
正義側を演じることが多い彼にとって、この役は相当チャレンジだったと思いますが、攻めて挑んだ結果、見事なハマり役を手に入れた。佐藤健すごい。思春期ヴィラン獅子神くんに思わず感情移入してしまい、ハラハラさせられました。
アクションシーンやVFXは、日本映画にしてはがんばってると思います。でも、これだけ派手な洋画アクションVFX作品が並んでいるなかでは、どうしたって見劣りしてしまいますし、残念ながら、その差を埋めるほどのアイディアは無かったように感じました。フレッシュさが無かったのが、とても惜しい。
と言っても、獅子神くんが「バン」で大量虐殺していくシーンの容赦なさには、いけない興奮を覚えてしまいました。
佐藤信介監督ならもっとすごい領域に連れていってくれると期待していたので、ちょっとだけ辛辣なことも書いてしまいましたが、日本でSFヒーロー大作を作るんだという気概にあふれた、堂々たる映画。スクリーンで見られる機会を逃してはいけないと思います。
