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いぬやしきのsomaddesignのレビュー・感想・評価

いぬやしき(2018年製作の映画)
5.0
キャスト勝ち

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「GANTZ」で知られる奥浩哉の人気原作コミックを「アイアムアヒーロー」の佐藤信介監督が「GANTZ」シリーズに続いて実写映画化。
家族からも会社からも疎まれる冴えない初老のサラリーマン・犬屋敷壱郎。医者から末期がんによる余命宣告を受け、虚無感に襲われた犬屋敷は謎の事故に巻き込まれ、機械の体に生まれ変わる。同じくして事故に遭った高校生の獅子神も犬屋敷と同様に人間を超越した力を手に入れていた。自分に背く人々を傷つけるためにその力を行使する獅子神。獅子神によって傷つけられた人たちを救うためにその力を使う犬屋敷。強大な力を手に入れた2人の男たちのそれぞれの思いが激しく交錯していく。

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今年のGW映画の充実ぶりヤバイ。
事前に見たい作品下調べを怠ったせいもあるけど、惑星直列並みに見たい映画が立て続けに公開されると、身も心も財布も付いていけないよ💦
ただでさえ繁忙期で忙しいから、その日見られる映画の中で優先順位を付けて見るしかない。勢い見送り気配だった今作を観賞。

結果………、ものすごい面白かった!
俺たちの褒めたい佐藤監督作。「アイアムアヒーロー」の佐藤監督が待ったやった!感(((o(*゚▽゚*)o)))


序盤の展開は「ブレイキングバッド」まんま。
機械の体に目覚めてからのコミカルさが楽しい。

主人公・犬屋敷にノリさんを据えた慧眼素晴らしく、ともすれば悲痛な中年クライシス/余命幾ばくもない爺の悲壮さが全体を暗く重たくしそうな設定なのに、つい寄り添って励ましたくなる温かみある好人物に見えた。
どこか自分自身にも世の中にも諦めがある様な、「仕方なし」で万事を飲み込んでメソメソしない。弱さが一周して強みに変わっちゃった様な人。

冴えないながらも多層的で多面的な犬屋敷に対する、佐藤健の直線的でナイーブな佇まいも良かった(・∀・)
ヨボヨボのノリさんの裸と佐藤健のバッチリ締まった体の対比もそうだし、見た目から考え方、世の中との関わり方ext...太陰太極図☯️みたいな関係性。

欲を言えば、初老にさしかかって死期を目前にして、ようやく自分にしかできないことに目覚めて、人を救うことで自身も救われる主人公に対して、獅子神の行動があまりにも利己的っちゅーか。
中盤以降の発端になる事件についても、自分勝手というか唐突すぎて共感しにくかった。もっとこう彼なりの正義が見えたり、暴力的になっていくに足る観客への共感要素が欲しかった。

新宿の街をブンブン飛び回るVFXシーンも爽快で、「アベンジャーズ」から立て続けに見たらCGのチープさに興ざめするんじゃないかと思ってたけど全くの杞憂。むしろ勝手知ったる街並を、縦横無尽に飛び回る爽快感があったし、今まさに自分が映画見てる映画館のスグ目の前を飛んでるシーンもあって不思議な気持ち。
(よく知ってる街だけに、すごく広範に飛んでる様に見えて、よく考えるとすごく狭い範囲の新宿の中を飛び回ってるのに気づいちゃったのは笑えた。四谷方面のトンネル抜けたんなら、もうちょっと行って防衛省あたりで戦うとか見てみたかった😁)


補記*
たまたま聞いてたラジオで、本作のPRに出演してた木梨さん。人生相談のコーナーに寄せられた「いつか自分の才能を生かした仕事に就きたいと思うものの、就職活動に踏み切れませんでした。自分に一体どんな才能があるのか、そもそも才能とはなんなのか」というフリーターの相談に対して「才能あっても好きな仕事ができるわけじゃないし、いろんな人の巡り合わせやキッカケが大事」と答え、「明日、映画の舞台挨拶があって、そこに映画会社の人、TVの人、いぬやしきのプロデューサーいるから、その人たちに会わせるから来なさい」と答え、ホントに翌日会わせて就職を斡旋しちゃった。
映画の内容以上にミラクルとワンダーに溢れたエピソードで、この先今作を見るたびに思い出す話だと思う。

37本目
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