しましま

いぬやしきのしましまのレビュー・感想・評価

いぬやしき(2018年製作の映画)
3.9
GANTZでお馴染み奥浩哉原作。コミックもアニメも未見なので、原作ファンはどうか知らんけど、面白かった。
VFXも確かにすごい(半機械感がMIBっぽいぞ)が、いじめ、リストラ、病気、家族の崩壊、SNS、マスコミ…社会の闇、というか人間の闇の部分が垣間見えるようで、その身近に起こり得るリアルさに嫌な気持ちになる。

突然「力」を身に着けた時、人間はどう変わるのか。生まれ持った人間性、育った環境、現在の境遇で様々に変わるだろう。その力をどう使うのかも。そして力と引き換えに得る物と失う物。
奪う力と与える力。そのどちらも使う者と使い方次第。
そういう意味での木梨憲武と佐藤健の対比がすごく良い。

今作における善である犬屋敷を演じた木梨の素朴でくたびれた、家族からは疎まれ会社ではうだつの上がらない演技が本作では効いているし、悪である佐藤演じる獅子神は元々サイコの素養があるのだろうが、さながらバトルロワイヤルの相馬光子のような「今までの境遇の反動から奪う側に回った」タイプと言える。
どちらも社会から抑圧された中で力を得たわけだ。

原作GANTZでもあった新宿大虐殺シーンはなかなかの怖ろしさ。
前半の静かな展開から後半一気に加速するメリハリもよく効いている。

あと忘れちゃいけない今話題の三吉彩花の存在感も光る。