沢の水

劇場版ポケットモンスター キミにきめた!の沢の水のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ポケモンの映画はデオキシス以来なので13年ぶりでした。社会人になり、自分で稼いだお金でポケモン映画を観ているのは感慨深いものがあります。
青年になったポケモン少年をメインターゲットに据えた映画ということで、僕にはかなり刺さりるものがありました。ということで以下かなり長文の感想になります。

初代ポケモンアニメのアナザーストーリーに原作の良いシーンを差し込んだ作りになっていました。
ただ原作を中途半端に取り込んでいる感も否めなく、ロケット団の中途半端な出演とか、タケシカスミの後に出会うはずのエリカが出演してるとか気になるポイントは多かったです。
アナザーストーリーならアナザーストーリーらしく、完全にパラレルワールドにしてしまってもよかったと思います。

ただツッコミどころを差し置けば、ノスタルジーの作用で泣けるポイントだらけでした。
ポケモンとサトシが互いを思い合っている様は、大人になったからこそ胸に迫るものがあります。そういうポイントをうまくリメイクで残してくれたのは本当に粋だと思います。

クロスのキャラクターも良かったです。
悪役だけど自分の中に信念があって、それを受け止められず自分の負けを認められないサトシの心情との対比がすごくよかった。
このストーリーを通してその信念を良い方に昇華させて、強さの高みを目指すサトシのライバルとなっていくラストもグッときました。
ポケモンとの絆の物語でありながら、少年の成長ストーリーでもあるんですね。

そして何より、「自分がポケモンの世界に入ったらどんなポケモンを育てようかな」とか、「自分が育てたらポケモンはどんな性格に育つんだろう」とか幼い頃に想像していたことを大人になって改めて考えられたのが楽しかったです。
映画を通じて「現在の」自分の内面と対話することはよくありますが、「過去の」自分と対話することができたのはポケモン映画ならではの経験だと思います。

ポケモン少年で本当に良かった。
沢の水

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