柏エシディシ

クルエラの柏エシディシのレビュー・感想・評価

クルエラ(2021年製作の映画)
3.0
ディズニー実写版は良いイメージがなく、その筆頭が「マレフィセント」である為、本作も少し意地悪な目線で見始めたのだけれど…面白かったです。
観ようと思った原動力はもちろんエマ・ストーンと監督のクレイグ・ギレスピーの存在。
「"間違えて"しまった人の物語」を綴る監督として「ラースとその彼女」(傑作!)「アイ、トーニャ」(傑作!!)と地続き。
伝説の名女優にてトラブルメーカー、タルーラバンクヘッドへのオマージュに、監督のメッセージが込められている。

とかく他者にも自身にも「正しくある事」を強く求め、ある意味"呪縛"の様にも思えてくる昨今。
もちろん、正しくあろうとする事自体を否定するものでは無い。しかし、そこから道行き外れてしまった者、零れ落ちてしまった者は生きる権利や幸福を掴み取るチャンスは与えられないのだろうか。
映画は、そういった人たちにいつも寄り添ってきてくれた様に思う。
スクリーンの向こう側の彼ら彼女らは、私たちの姿でもあった筈だ。

ディズニーマナーの"ドレスコード"にあくまで忠実に、煌びやかなピカレスクロマンとして構成した監督の手腕とバランス感覚は見事だと思う。
しかし、誰しもが、比較で引き合いに出したくなるであろうあのヴィラン誕生譚に比べると、ヴィランというには真っ当なアンチヒーロー映画である所には若干違和感は残る。
本家は動物虐待、というある意味、ディズニー3大タブーの抵触する大物だけに。
101わんちゃん、再見して答え合わせしたい。

エマ・ストーンの七変化は眼福に過ぎる。ヘアメイクやファッションも門外漢の私も愉しいのだから、女性や服飾関係の方は尚更でしょう。ヴィヴィアン・ウエストウッド、アレクサンダー・マックイーンぐらいしか引用出来ない……w勉強します

エマ子のアイドル映画として完璧な一本ですが、もうひとりのエマ子、エマ・トンプソンも素晴らしかった。
クルエラと拮抗する敵役として、貫禄といいエレガンスといい硬軟自在の演技力といい、他には考えられない。続編つくりそうな雰囲気がするのだが、エマ・トンプソンより良い敵役は難しいのではないかな……
(付け加えると、この手の"女性"映画として敵役が男ではなく、あくまで同性のライバルというのは作劇上重要なポイント)

大ネタ使いの60、70年代のロック系サントラだけ、ちょっとあざといというか、逆に底が浅く五月蠅く感じてしまったのはマイナスポイント。
まぁ、これくらいメジャーの方が若い人には良いのかな?w

PS
俺たちのポール・ウォルター・ハウザー演じるホーレスがトッテナムサポーターという設定に、トッテナムサポーターとしてテンションが瞬間ゲキ上がりしたのを報告。
COYS!
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