湯っ子

クルエラの湯っ子のレビュー・感想・評価

クルエラ(2021年製作の映画)
3.9
ディズニー映画って、私何を観たことあるかな?と調べてみたら、子供たちが小学生の頃は、一緒になってそこそこ観ていた。
「トイストーリー」や「ベイマックス」「モンスターズ・インク」「ファインディング・ニモ」。ディズニーというよりピクサーかな。
あとは自分が子供の頃には家にディズニーアニメの絵本が何冊かあって、その中に101匹わんちゃん」もあった気がする。

というわけで、現在の私はあまり観ることのないディズニー映画だけど、クレイグ・グレスピー監督で、信頼しているレビュアーさんの評価も良かったので映画館へ。

オープニング、スピーディーでスタイリッシュな演出にてクルエラ自身のナレーションで生い立ちが語られる…私にとってのクライマックスはここだった。
産まれた時からあの髪の色!そして、その髪の色以上に個を主張するパワー。小さなエステラが何度も何度も型に嵌められ、その個性ゆえに苛まれ、それでも主張することをやめないその姿がいじらしくカッコよく感動的で、自然と涙していた。

仲間の2人組と出会い、泥棒稼業に精を出すところもすごく面白い!悪事ではあるけれど、知恵を絞り協力し合い、大都会で身寄りのない3人が他の何者にも頼らず生きていく、そんな姿も、またまたいじらしくカッコよく感動的だった。

仲間たちのイキなはからいで、街で一番素敵なデパートに勤めることができることになったエステラ。
デパートの入り口から売り場、バックヤード、どんどんどんどん奥へ入っていって…エステラがいるのは従業員用かな?汚いトイレで床みがき!長回し好きな私は、ここは大好物のシーン。
と、導入部分は音楽とカメラワークでテンポよく見せてくれたと思う。

で、この後、世界的デザイナーのエマ・トンプソン演じるバロネスが登場する。さすがの貫禄とふてぶてしさだ。
この後「プラダを着た悪魔」的な展開で描かれるファッションは素敵で楽しかったが、ここのバロネスとのやりとりのくだり…すいません、私何度か瞼が重〜くなってしまいました。なんで寝るの?せっかく映画館に来てるのに!1800円払ってるのに!…配信なら巻き戻せるのに〜、と悔やむ私は寝落ちの常習犯。
なので、この部分を語る資格はないかもしれませんが、とにかくしばらく眠かった。
…で、噴水の前のライブで目が覚める。
ここはカッコよかった!選曲も良い。
で、その後また物語は大きく動く。

私の好きなシーンはその後。
クルエラとして生きていく覚悟を亡き母へ語るモノローグは、「アイ、トーニャ」で疑惑の中、トーニャがリレハンメルでの演技の前に、鏡に向かうシーンを彷彿とさせる。
そうそう、私、こういうのが観たかったんだよ!と嬉しかった。

暴走するエステラに困惑気味だった2人組だが(あとワンコたちも)彼らはやっぱり家族っていうところも良い。ついでに、2人組のうちの1人が「アイ、トーニャ」に出ていた電波系ていうのかな?元夫の友達役の俳優さんだったのもテンション上がった。

エステラに立ちはだかるバロネスのことなんだけど、彼女は産まれながらに冷酷非道に描かれている。
これは、物語をわかりやすくするためなんだろうか?エステラ(クルエラ)に焦点を絞るために、バロネスをあんな単純な悪役にしたんだろうか。
悪役を単純な悪役にしないためには、ワンシーンでも表現できるはずなのに。
私の不勉強で、全く毛色の違う映画しか出てこないのだけど、「愛しのアイリーン」の岩男の母ちゃん、まさにモンスターだと思っていたけど、たったひとつの回想シーンだけで、この人にも色々思うところがあったんだなって思わせてくれたじゃないか。
そんなシーンがひとつあるだけで、もっとこの映画を好きになった気がする。
私個人の意見だけれど。

ディズニーだし、子供にもわかりやすくするためには、悪役はわかりやすくしておいた方がいいのかな。
…って、これ悪役が誕生するまでの話だよね?
主人公が悪役になるための事情は描いても、そのきっかけになる人物がなぜそのようになったかは描かないんだな。
でも、それをやっていたらキリがないし、焦点がボケるのかしら…?

文句もつけましたが、ディズニーだからこそ、これだけゴージャスな映画になったのも間違いない。
音楽は世代ドンピシャではなく少し下で、ロックに特別詳しくもないので、知っている曲は半分くらいだったけど、知らない曲もカッコよくマッチしていて楽しめた。

映画が始まる前に、白黒のシンデレラ城が出てきて、ちょっといつもと違うディズニーだよ〜、と予感をさせておいて、最後の最後にいつものカラーのシンデレラ城がでてきたのも、ほ〜らやっぱりいつものディズニーでした〜!みたいな感じで面白かったです。
湯っ子

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