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クルエラのHKのレビュー・感想・評価

クルエラ(2021年製作の映画)
3.3
ディズニーアニメ『101匹わんちゃん大行進』でドジな手下二人を連れた女悪役のイメージ(ドロンジョやマージョの原点?)と、実写化された『101』でもまさに魔女のようなグレン・クローズが見事に演じてくれたため、正直言ってエマ・ストーンの丸顔のキュートな“クルエラ”には製作中からかなり違和感アリ。

でもとても高評価だし、エマ・トンプソンのファンだし、と観てみましたが・・・
う~ん、やっぱり私には違和感を拭えませんでした。
残酷無比な稀代の悪女クルエラを後付けで無理やり愛すべき善人キャラに改竄してしまおうとしているようで、どうも観ていて居心地が悪い。

例えて言えば、ゲームキャラみたいに悪役も二頭身キャラにしてしまえばカワイイでしょ、という発想のように思えてしまい、なぜその必要が?と思ってしまいます。

もちろんエマ・ストーンがキュートで愛すべきキャラなのは間違いないですから、元のクルエラを知らない人や執着しない人にとってはそんなの関係無く、「何ケチつけてんだこのジジイ」としか思われないことも重々承知。
でもなんか元のクルエラのキャラが無かったことにされるようで寂しさを感じます。

私の知っているクルエラは、子犬の毛皮を剥いでコートにしようとする(他の動物ならOKというのも問題?)文字通り悪魔(De Vil)のようなキャラ。
ですから、子どもの頃から変わり者とは言え本当は優しいエステラがあの後のクルエラになってしまうとすればダースベイダーになったアナキンなみの悲劇のはずですが・・・

万人が共感できる愛すべきクルエラとは、私にとっては悪役のプライドを捨て去り本来持っていた悪の魅力やヴィランとしての圧倒的パワーを失くしたつまらないキャラにほかなりません。
この流れで行くと友達から手下に格下げされるジャスパーとホーレスはかえって不憫。

ヴィランは実はみんないい人でしたなんて世界つまんないと思うのは私だけでしょうか?
本作ではむしろ本来のクルエラ的だったバロネス役のトンプソンも今回はベテランの貫録を見せつつも今ひとつ魅力に欠ける気がしましたが、これらは二人のエマのせいではなく、問題は脚本・監督もしくは製作サイドにあるのだと思います。

ヴィジュアルと音楽はそれなりに楽しんだのでこの点ですけど。
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