逆鱗

ステップ・シスターズの逆鱗のレビュー・感想・評価

ステップ・シスターズ(2017年製作の映画)
3.2
白人がマイノリティで黒人がマジョリティの物語

アメリカ大学にはフラタニティという男子学生の団体とソロリティという女子学生の団体があるらしい。
日本のサークルとは異なり、入会にはメンバーの推薦が必要で、社会奉仕活動をしたりするようだ。

この物語は、女子学生の方のソロリティが舞台。
黒人ソロリティは、ステップというパフォーマンスをする。
(劇中にもあったが、私は初めてストンプザヤードという映画で知った)

そんな黒人文化のステップを白人中心のソロリティが習得し、大会で賞金を稼ぎそれを寄付して、ある失態が原因でソロリティ取り潰し危機から復活しようという物語。

現代ならではの、白人がマイノリティという興味深い設定。
白人ソロリティがステップなんてやらないし、かつ下手くそだから、黒人だらけの観客にブーイングを浴びせられたり、散々な目に合う。
そのチームメンバーの中には、里親を転々として育ち、内緒でストリッパーのバイトをして学費を捻出している人や、南部出身の田舎者(レッドネック)が頑張って都会ぶっている人や、黒人コミュニティに馴染めないブラックガールなど多様な構成で、決して恵まれた環境で育っているわけでじゃなさそうだ。
いわゆる黒人は恵まれてない側で白人は恵まれている側というステレオタイプではない。主人公の黒人女性は、ハーバードを目指す才女だし、両親もハーバードを出身のエスタブリッシュメントのようだ。

ここからネタバレ注意です。

なんとそんなど素人ステップ白人ソロリティが最終的には大会で2位になるのだが、運営側のインチキで賞金外にされてしまう。
1位のライバルチームの表彰の時に司会者が、1位のキャプテンにインチキの事実を漏らす「黒人のステップを白人に売り渡すわけにはいなねぇからな」と。
司会者はキャプテンが同意してくれるものと思って言ったのだが、キャプテンはインチキの事実を観衆の面前でバラシ、賞金の半額を分け合う。「私たちは正しいことをするわ!」と。

以下蛇足。
綺麗な三幕構成、1幕は白人ソロリティがステップに挑戦することを決意、2幕は練習を重ねて披露するも散々で挫折、3幕は立ち直って地区大会で見事2位!
鉄板の構成なのだが、落差と摩擦が弱い。
パーティの時の野外セッ●スがツイートされてソロリティ取り潰しの危機というのも設定がアホだし、ステップで活躍して社会奉仕しようと練習する中で上達が異常に早く苦労が感じられにくい。
司会者がインチキを表彰の舞台上で囁く設定もアホ過ぎる。
なーんだか、全部都合が良く見えるので熱くこみ上げるものが弱い。
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