とがり

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのとがりのレビュー・感想・評価

4.3
実在の人物や事件を描いた半伝記的ドラマ映画なのだが、こういう描かれ方をした映画に出会ったことがなく、すごいものを観た…という感想 (語彙力ゼロ)。

現実の事件なのにいかにもフィクション的な演出、悲劇なのに喜劇的、同情的であると同時に冷笑的な描き方で、このバランス感覚が素晴らしい。
ホワイトトラッシュから才能と努力でのし上がったフィギュアスケートのスター選手の物語であると同時に、ホワイトトラッシュの母親・夫・友人知人に足を引っ張られ夢破れる"負け犬"の物語にもなっている。

そしてモノローグにもあるように、すぐに他人を勝者と敗者に分け、愛すべきヒーローと憎むべき敵を作り、他人の人生にエンタメとドラマを求め熱狂したがる"アメリカ"をこっそり風刺する。
どこまで真実かは当事者以外分からないが、「これが真実」と言いながら「真実はない」と煙に巻く。

主演のマーゴット・ロビーがとにかく素晴らしい。クライマックスの控え室シーンから本番のスケート演技は特に圧巻。

映画でしかできない、フィギュアスケートシーンのカメラワークも良かった。
絶対無理だけど、このくらいの臨場感でフィギュア見てみたいくらい。
とがり

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