ジョジー

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのジョジーのレビュー・感想・評価

3.8
ナンシー・ケリガン襲撃事件のことはよく憶えてます。リレハンメル五輪の時、トーニャ・ハーディングとナンシー・ケリガンに注目が集まってましたからね。
「ハーディングが元夫を利用してケリガンを襲った」くらいの認識しかなく、映画を観て今更ながら、真相を知ったという感じ。大体が実話にそった物語だそうですが、すべてが真実かどうかは謎なところもあります。
子どもは褒めて育てろと言いますが、トーニャは鬼母から罵倒され暴力を受けながら、皮肉にも才能を開花させていきます。愛されることを知らずに育った彼女が、初めて恋に落ちた相手が夫となるジェフなんですが、彼もまたDV男!
暴力なんて本当は慣れるものではないけど、それも普通と感じてしまうくらい酷い子ども時代を送ってきたことには、ちょっぴり同情してしまうというか…。
アメリカ人女性初のトリプルアクセル成功者で、アルベールビル、リレハンメルと二度のオリンピックを経験したトーニャ・ハーディングの壮絶な半生。
ちょっぴり苦笑いしてしまう可笑しなシーンも交えながら、どうしてこんな事件が起き、彼女は犯罪者となってしまったのかが描かれています。栄光と挫折と言うよりは、若くして波乱万丈の人生を経験してしまったという感じかな?
トーニャ・ハーディングを演じたマーゴット・ロビーは4ヵ月に渡ってスケートの特訓を受けたとか! ちょっぴり15歳の頃を演じるのはきついのではと感じましたが(失礼…)、それ以上にトーニャの喜怒哀楽を彼女の持てる全てで魅せてくれてます。靴紐が切れたと訴えるシーンはリアルに当時のことを思い出しました。
そして、見事オスカーを獲得したアリソン・ジャネイ。本当にこんな人いるのかという超絶鬼母の怪演がすごかった!
物語にも引き込まれましたが、スケートシーンにも圧倒されました。エンドロールでは母と娘の、そして元夫ジェフや事件のカギを握る彼の友人ショーンのその後も紹介されています。
さらに、当時のトーニャ・ハーディングの映像も観ることができ、最後まで楽しませてくれます。登場人物が観客に語りかけるような手法はあまり好きではないんですが、この作品ではそれが上手く生きていたんじゃないかな。
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