るるびっち

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのるるびっちのレビュー・感想・評価

3.7
映画を観ながら幸福について考えた。
恋人と友人は選ぶべきだ。
バカな彼氏や更にバカな彼氏の友人が居なければ、彼女はスキャンダルに巻き込まれることもなかったろう。気の毒な話だ。
しかし類は友を呼ぶで、彼女自身が何事も他人のせいにする傲慢で独りよがりな性格だから、同類の人間を引き寄せたのだろう。

毒親問題もあり、母親はハードボイルドな感じで一見カッコいいが、内面は充足しておらず不足に駆られていて誰も信用できず不安定である。
そんな母親の影響を受けて常に不安と不足感を感じるトーニャは、審査員から受け入れられていないと感じ不足と不満の繰り返しの人生を演じる。

恋人も同様の人種で、充足を感じないので不安定な感情を相手にぶつけ、全てを相手のせいにして殴っては反省する繰り返し。彼らには永久に充足は来ず、幸福もこない。
互いに愛情を上手く表現出来ず、傷つけあうことでしか充実した時間を過ごせないカップルと親子の姿がよくでている。ナイフで娘を傷つけてしまうのは象徴的なシーンだ。

そんな気の休まる暇のない不足地獄に居て、それでもあれだけの力を発揮できたのだから、環境やメンタルが整っていればスキャンダル女王ではなく、真のフィギュアスケートの女王になれただろうに惜しい人材だった。
るるびっち

るるびっち